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書籍紹介 『天晴れカレーパン』

 中、高校生くらいの頃、夜にはよくラジオを聞いていた。私の世代だと、一番人気があったのは、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』だろうか。タイトルを聞いただけで、テーマ曲が頭に流れる人もいるだろう。
 私はあんまり『オールナイトニッポン』は聞いていなくて、TBSラジオの『パックインミュージック』の方を聞いていたかもしれない。『パックインミュージック』が終わってからは、その後の番組はあまり聞いていない。
 どちらかというと、パーソナリティのお喋りもいいが、音楽を聴きながら試験勉強、という感じだったので、静かな方が良く、NHK‐FMの『クロスオーバーイレブン』とかを聞いた後に、FM東京の『JET STREAM』(もちろん城達也の頃)へ移動する、というようなことをしていた。

 こんな感じでラジオの深夜番組は聞いてはいたが、どういう理由で、石坂浩二がパーソナリティだったFM東京の『ミュージック・スコープ』を聞いたのか、よく覚えていない。短い番組だったし、局を変更するときに、たまたま聞いただけなのかもしれなかった。番組名は、『ミュージック・スコープ』らしいが、トヨタが提供だったので、『トヨタ ミュージックスコープ』とアナウンスされていた。石坂浩二はこの頃、トヨタのCMでナレーションもしていた。
 その、たまたま聞いた時に、この番組では、妙にカレーパンを取り上げていて、リスナーからカレーパンに纏わる話などが送られてきたりしていて、採用されると、カレーパンバッヂなるものが貰えたらしい。
 石坂浩二という俳優は好きだったので、こういう番組もあるのか、とその後はしばしば聞いていた。
 どうやら、このカレーパンに纏わる話から、本まで出版したらしく、『天晴れカレーパン』というタイトルで出版されているという。ラジオでいろいろと聞いていて、どんなものかと興味をもったのだが、さて、私の田舎でそんな企画ものみたいな本が売られているだろうか、と思いつつ、ある日本屋へいってみたら、なんと、それが売られていた。

天晴れカレーパン』(石坂浩二:著 主婦の友社)は、昭和59年(1984年)12月18日初版。私が持っているものは、昭和60年(1985年)4月10日第四版のもの。四か月足らずで四版と、結構売れている。

『天晴カレーパン』(石坂浩二:著 主婦の友社)

 内容は、ラジオのリスナーからのハガキや手紙の内容に、カレーパンの歴史、カレーパンの作り方とかパン工場の見学記、各地のカレーパン情報、石坂浩二と関係のあるタレントや著名人(大橋巨泉、ビートたけし、ケント・ギルバート、中井貴一、小泉今日子、竹内均。みんな写真が若い)のカレーパンに纏わる話。
 写真の表紙の帯にもあるが、林真理子と玉村豊男との対談に、石坂浩二のカレーパンの思い出、といった内容。
 ラジオのリスナーの名前も掲載されている。名前の載っている人には、思い出の一冊なのだろう。
 現在出版はされていない。絶版の本だが、再販はまずされそうにない。

 私は特にカレーパンに纏わる思い出というものも無いが、小学生の頃、学校の給食にカレーは出ても、ご飯は無かった。いつもコッペパン。
 なので、コッペパンをスプーンでくり抜いて、中にカレーを流し込んで即席のカレーパンを作って食べたりしていた。お行儀が悪い、という女子もいたが、何時もそうして食べていた。暖かいカレーが入ったコッペパンは、今思い返しても結構旨かったと思う。
 他の子も真似するかとも思ったが、コッペパンをくり抜く、というのが面倒くさいとか上手くいかないとかで、流行ったりはしなかった。こういうところで、私は無駄に器用だとよく言われていた。

 カレーパンは、今では日本独自のものから、カレーと同じく世界各国で人気になって、パリのパン屋でも売られているらしい。隔世の感、というやつだ。

 石坂浩二は今でもドラマ等でみかけるが、ネットでは、プラモデルの制作などでも有名になっているようだ。昔は、絵を描くのが上手いということで、そちらが有名だったように思う。私の中では、絵が上手い俳優というのは、後は、米倉斉加年と奥田瑛二か。この二人は、画家の方でも名を上げているけど。

 ふと、カレーパンを久しぶりに買って食べたので、なんとなくこの、『天晴カレーパン』の事を思い出して書いてみた。 


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