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十六酔い

満ちるには少し短く
欠けるにはまだ長い夜。
曖昧な夜の端に立って、
ひとり、月に酔う。

十六の、かすかな翳りを纏う光が
柔らかな影を、静かに広げていく。

風に揺られた窓辺に置かれた心は
まだ夢に溶けきれず
醒めきれぬまま
淡い酔いにただ流されるだけ。

見上げれば、白く浮かぶ月が
夜空の奥で、なにかを秘めて笑う。

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