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自分さえ良ければ
[1]自分さえ良ければいいのか
ニュースを見ても、街を歩いていても、仕事をしていても、どこにいても「自分さえ良ければいい」という人間の醜さに心をやられてしまっていた。なんでそんなにみんな「自分さえ」良ければいいんだろう。
自分の人生なんだから自分を優先して当たり前なんだけど、他人を犠牲にしてまで自分だけおいしい思いをしようという考えや感覚はどうしても解せない。誰かの優しさが誰かの養分のように使われているこの現状がどうしても許せないのだけど、一方で自分がそんな醜い人間の一端であることが恥ずかしく思えてきた。
最近はそんな悲壮感が拍車をかけて自分自身を襲っている。決して死なないのだけど、生きている意味が見えない。「消えたいなぁ」と脳裏をよぎるものの、これは「死なないのだけれど、こんな醜い社会とは身を切り離したいなぁ」という意味で、やはりちょっと、人疲れをしているのかもしれなかった。
[2]自分を変えることができなかった人
小学生の頃、僕から500円をカツアゲしようとした同級生が海外で逮捕されていた。何年かに一度、その同級生については風の噂で良くない話が耳に入ってくるのだけど、逮捕されても「あぁ、500円の延長線だね」としか思えなかった。
「自分さえ良ければいい」人の末路は大体決まっている。当時、同級生は「500円くらいええやんか」と言っていた。あの時改心できていたら、未来は変わっていたのかもしれない。
そう思うと街に跋扈する「自分さえ良ければいい人」は、「自分を変えることができなかった人」でもある。途中で幾らでも気づくチャンスがあったのに、自分の愚かさを認めず、意固地になってゾンビのようになってしまった人たち。そんな人たちが街を歩き、自分の得だけを握りしめて、社会を動かしたりしている。ニュースの記事になった同級生を眺めては、この社会に絶望していた。