FNCTRについて (11)
2週連続東京ライブ
9/7、9/14と連続して東京でライブを行った。
9/7は背前逆族に誘っていただきRuinsとのスリーマン。
いろんな意味で恐れ多すぎた日だがあっという間に終わった50分間(過去最長セット)だった。
曇ヶ原、Evraakなど東京プログレ界隈の関係者がたくさんお客さんとして来場しており改めて東京のプログレ層の厚さを実感する。
このライブはFNCTR初の全員で1台の車に乗り合わせての遠征でもあった。
京都を朝6時に出発し交代で運転しながら東京を目指す。
行き帰りどちらも渋滞などには巻き込まれず順調ではあったが、新宿の細い路地裏にあるコインパーキングに停めるのと首都高に入るとき右側車線から合流するのは本番以上に緊張した。
ライブ後すぐに京都に帰る必要があり朝方まで交代で運転し続けなければいけないのはきつかったが、真夜中の浜松SAに降りたり名古屋港の夜景を見るのはいままでにない心躍る体験だった。
自分は学生時代にまともなバンドを組んだことがなく、FNCTRを組んだ時も京都で3か月に1回くらいブッキングライブ出れたらいいよねくらいにしか思っていなかったので、まさか40歳になって機材を積んだ車で深夜の新東名を走るとは想像もしていなかった。
本当に人生何が起こるかわからない。
9/14は井上大将軍主催の不思議ロックフェス。
プログレアベンジャーズによるライブイベントだ。
出演者の守備範囲はとても広くシンフォニック、シアトリカルなバンドからドゥーム、果てはアイドルまで。
キュレーターとしての井上さんの審美眼がいかんなく発揮されており、それを目当てに見に来たお客さんでグッドマンはパンパンになっていた。
FNCTRはトリ前という非常にプレッシャーのかかる出順にしていただいたため、ずっと「出番来てくれ…」という心持ちで酒がとても飲みたかった。
(ライブ前の飲酒は原則禁止)
FNCTRはライブ中に手ごたえがないケースが多い。
初めてFNCTRを見た人はその情報量を整理するための時間が必要だからじゃないかと思う。
加えて、自分は客席を見ない。
集中を途切れさせるとすぐミスるし一度落ちると取り返しがつかなくなる曲も多いのだ。
もちろん曲間に拍手や歓声はいただくが、それは会場の熱気がそうさせるのであって自分たちの力はそれほど大きくない。
ので、今回もウケてるかどうかあまりわからないまま40分ほど演奏した。
いつも通りの演奏ができていると思うのだがどうだろうか、目の肥えたお客さんに果たして通用するだろうか……ととても不安だったがライブ後に大きな拍手をいただけてホッとした。
仲良くなったバンドもできてとても充実したライブだった。
Ludeのプログレ性について
Ludeは「FNCTRのプログレ」をテーマにした一連の作品群だが、伝統的なプログレッシブロックの系譜から外れた亜流だと思う。
1曲はそれほど長くないものが多いし、深い世界観もない。
ロックを感じさせるギターリフもないし、叙情的な歌詞もない……というか歌がそもそもない。
変拍子や複雑なリズムはあるが、それはプログレロックに限ったことではない。
ではLudeのプログレ性はなんなのか?
自分はプログレとは「西洋音楽的な複合拍子と高い構成力を持った楽曲と純粋な演奏技術による音楽的高揚」だと考えている。
(解説は長くなるので割愛)
ここで大事なのは自分が考えるプログレがなんなのかではなく「多くの人がFNCTRを聞いてプログレ性を感じ取った」ことだ。
FNCTRはジャズといわれることもあればハードコアの文脈でとらえられることもあるし、オルタナロックの集まりに呼ばれることもある。
が、Ludeをリリースして明らかにプログレリスナーの方に聞いていただける機会が増えた。
これは自分たちの思い描いていたLudeのコンセプトがリスナーに伝わったということなんじゃなかろうか。
だとするととても嬉しい。
この2回の東京ライブを経てそんなことを考えた。