見出し画像

SFショートショート『人の不幸は蜜の味』

(雑記)子供の頃からときどきUFOをみてきました。小さいのも、雲に偽装したもの、巨大なもの、いろいろと複数の人たちともみてきました。
ですので、少なくともUFOは実在していると思います。鎌倉の大仏を撮影したさい、でっかいUFOが写っていたのですが、いつのまにかなくなってました。家中を探せばでてくるかなあ。

UFOの乗員の説として、異星人説、地球製説、地底人説、未来人のタイムマシーン説といろいろとありますが、どうして人間って、ひとつだけだと思うのでしょう。私はぜんぶ可能性がある、それでいいと思ってます。

誰が乗船していて、どこから来ているのかよりも、なぜ、なんのために来ているのかが重要だと思います。

SFショートショート『人の不幸は蜜の味』
            

それは多元宇宙に数しれず存在する、地球という惑星での出来事である。

「おいみろよ、またUFOがそこらじゅうを飛んでいるぞ!」

若い男が彼女にむかって大声をあげた。

「古代文書の予言にあった、地獄の王ってやっぱり宇宙人のことだったのかしら。今年の10月が予言されていた時だものね」

彼女も不安げに空をみつめながら答えた。 2031年の9月の下旬になってから、突然、世界各国の空にUFOが虫の大群のように現れ、24時間滞空するようになった。しかし、UFOは街にむかって攻撃するわけでもなく、ただ空を乱舞するだけだった。

「地球をどうするつもりなのかしら……」

「俺たちを奴隷にするつもりなんだよ」

男はスーツを急に脱いで投げ捨て、ネクタイは丸めて蹴飛ばした。

「世界はもう終わりなんだ。仕事なんかやっていられるか!」  

男は彼女の手をにぎりしめ、ホテル街にむかって歩きはじめた。
 

その後、10月になってもUFOの姿が消えることはなかった。戦闘機をむかわせてもするりと逃げるだけで、それ以上のリアクションはなかった。

「彼らはいったいなんの目的で空にいるんでしょうな?」

日本政府の官房長官が、官邸にいる総理に電話で語りかけた。

「わからん! 苦情の電話が多数きているらしいが、人間の言葉が通じそうにない相手に対していったいなにができるというのかね」 

総理は、官邸の窓からみえるUFOをみながら、そういうなり黙りこんでしまった。

アメリカでは核ミサイル攻撃を決行しようとしたのだが、突然基地の機器のすべてがおかしくなり、なにもできない状態にあった。

そして11月1日。UFOは突然空からかき消えた。そのUFOの内部では、さまざまな銀河系から派遣されてきた異星人のマスコミ関係者や、一般異星人たちがぶつくさ文句をいっていた。

「我々は、地球に大災厄や戦争があるたびに地球に観察してきたのだが、先月に、地球特派員から、2032年の10の月に、地獄の主が地球に降りて大災厄がもたらされるという情報がはいり、ずっと地球の空で張りこんでいた。それなのに、塵ひとつも落ちてこないではないか! まったく無駄な1ヶ月間を過ごしてしまった!」

彼らは腹立ち紛れに、地球全域を目標に、究極の破壊爆弾をばら撒きはじめた。
そして、予言は成就された。

(fin)

星谷光洋MUSIC Ω『シェイク・シェイク・シェイク』


いいなと思ったら応援しよう!

星谷光洋
気にとめていただいてありがとうございます。 今後ともいろいろとご支援をお願いします。よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!

この記事が参加している募集