第13話 衝撃の報告
1ヶ月の工場研修が終わりを迎えた
長いようで短かった1ヶ月間
初めて正社員として仕事をして、お金を貰うという経験
知らない土地で、知らない人達が、24時間毎日、交代で巨大な工場を回していること
低賃金にも関わらず、しっかり教育も行き届いていて
彼ら自身、仕事にプライドも持っている
賃金以外の部分でのモチベーション維持方法なんかも知ることが出来たのは非常に勉強になる経験だった
湯原「1ヶ月間お疲れさん。ぶっちゃけもう二度と会うこともないかもしれないけど、もしこの工場に戻ってくることがあったら、よろしくな」
TK工房「はい!ありがとうございました!」
大和「君らは良いなぁ。色んなところに行けて。俺らはずっとここで同じことの繰り返しだわ。もう8年だぜ?俺みたいな人間がいること忘れないでね」
TK工房「はい!もちろん忘れません!」
一か月間に工場に来た時と同じように、会社のバスに乗り、工場を後にした。
新幹線を乗り継ぎ大阪まで帰る道中、この1か月で経験した全く知らなった世界を思い出し、反芻していた。
そして一ヶ月ぶりの大阪本社出社
全国に散らばっていた同期が久々に集う
入社して1週間もしないうちに、バラバラに全国に散ったために
全然記憶にない同期も少なくなかった
(こんなやつらおったっけ?笑)
と初めましての同期がたくさんいる中で、熊本工場に派遣されていた外村とソンヨンを探した
TK工房「あ、外村!久しぶり!元気してた?」
外村「久しぶりやな!元気やで!腰いわしてもうたけど(笑)」
TK工房「なんで!?(笑)」
外村「いやー材料工程に配属されてさー、地獄やったわ」
TK工房「おー、お前も材料工程やったんかー!キツかったやろー」
外村「あ、お前も?キツイよなー。普通に腰いわしてもうたわ。ソンヨンなんか会社辞めてもうたで(笑)」
TK工房「えー!!!マジ!??早ない!??(笑) 」
外村「なんか、こんなんするために俺はこの会社に来たんじゃないって、毎日ボヤいててさ。」
TK工房「いやいや、1ヶ月間限定の研修ですやん!(笑)」
外村「せやねん。俺も言うたんやけどなー。なんか耐えられへんかったらしいわ」
TK工房「あいつの2年間の軍隊経験は何の役にも立っとらんな(笑)」
外村「戦車は乗れるようになっとる」
TK工房「オートマやけどな」
外村「せやな」
TK工房「いやー、勿体無い人材。まぁ、でもこれはちょっとアホやろー。いわゆる典型的な”ハイスペックだけど使えない新人”ちゃうか。」
製造業に居る以上、製造現場がどんなものか知っておくことは、非常に重要だが、そこが理解できなかったソンヨンにとっては、辞めるほうが良かったのだろう
彼はそのまま韓国に帰ったらしく、携帯も解約したため
その後どうなったのかは誰も知らない
続く
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