第46話 部内報完成
村田「届いたよー」
TK「お、いい感じすねー!」
座談会の収録から約一ヶ月、ついに部内報が届いた
初めて自分がこの世に作り出したプロダクト
上司の竹尾課長がまるで仕事をしないタイプだったおかげで、ほぼ全て自分の監修でやり遂げることが出来た
(これがみんなの手元に届くかと思ったら、ドキドキやなー)
TK「これって各拠点には、こっちから送るんでしたっけ?」
村田「いや、直接畑中印刷から別送されてるよ。姫路にも今日届いてるはず。海外は届くまではもう少しかかるやろけど。」
(香港の月森さん、どう思ってくれるやろか。ほんで姫路の松下もこのカラー見てどう思うんやろな〜。悔しがってたらオモロイな)
早く感想が聞きたいTK工房は受話器を手に取り、姫路の古瀬に内線電話をかけた
古瀬「はい、古瀬です」
TK「TKやけど、部内報届いた?」
古瀬「おぉ、今見てたところ。座談会、えらい綺麗にまとまってるね(笑)ちょっとドキドキしてたんだけど、当たり障りない感じになってて安心したわ」
TK「せやねん。ベートーベン、なかなかやりよるやろ(笑)まぁ、俺としてはもう少し尖った発言採用してほしかったけど」
古瀬「いやいや、これで十分だわ(笑)」
TK「もし、そっちで話題になってたら、また教えて」
古瀬「はいはい、了解」
受話器を置くと、隣の課の萩原が部内報を読みながら近づいて来るのが見えた。
萩原は今年定年を迎える部長職だ。ゼネコン向け営業でかなりの実績を残したやり手と聞いている。
萩原「これ、君が作ったんか?」
TK「はい!僕の発案で今回から刷新させて頂きました!」
椅子から立ち上がるTK工房
萩原「へぇ、たいしたもんやな。凄い凄い」
TK「ありがとうございます!」
と、喜んだのも束の間
次の瞬間、萩原が笑顔で部内報をビリビリに破き始めた
萩原「たいしたもんやわ」
そう言って破いた部内報を近くのゴミ箱に捨て、そのまま自分の席に戻っていった
何が起こっているかわからず硬直するTK工房
萩原は普段、温和でニコニコしている印象しかなかった
そして今、いつもの笑顔のまま、自分の作品を破り捨てて行ったのである
冗談なのか、何かのメッセージなのか
全く整理がつかないまま呆然と立ち尽くした
村田「どうしたの?」
TK「いや、その、、今、、萩原さんが褒めてくれたのかと思ったんですけど、、、ビリビリに破いて捨てていったんですよね」
村田「あぁ、あのオジちゃん、別に何も考えてないから気にしなくて良いよ。いつもテキトーだもん。私、高田純次と思ってるから(笑)」
TK「はは、確かに雰囲気は似てますね」
先輩の言葉に少し救われた気がしたTK工房
(まぁ、抵抗勢力がいることは想定内やったよな。こんなことで気にしてたらあかんわ。それよりも自分の作品が出来上がって、色んな人に届き、色んな反応を得ていることを今は喜ぼう。そうや、また感想のアンケートでも取るかな。)
早くも次回作に向け、コンテンツ案を考え始めていた
サラリーマンTK工房 シーズン2 完
オマケ:実際の座談会記事↓
サポートいただいたお金は、こんな僕を育ててくれた母ちゃんに還元したいと思います。