第36話 配信方法
福徳本部長との相談を終え、席に戻った。
(どんなことを発信するべきなんやろなぁ)
引き出しの中から、社内報を取り出し、パラパラとめくる
部内報と違い、毎月発行で全てカラー。紙質も良い。
肝心の内容はというと、社長メッセージや地域軸でクローズアップされた世界の拠点情報や、商品軸や、工場・開発・営業などの機能軸でクローズアップされた社員が載っている。
(社内報だと、毎月の発行でもネタが豊富やなぁ。とは言え、オモロイかと言われれば、別におもんないけどな。。。しかし、何でおもんないんやろか)
海外拠点特集とかだとちょっと興味は出るものの、それでも記事に書いてある内容は表面的なものばかりで、いわゆる読ませるストーリー性がない。
また新商品開発の紹介も、技術の切り口で紹介されたものは、オタクな話で非常につまらない。その新技術が搭載されたからどうなの?というところが全くわからない。
もはや無意味な薄型テレビの画質競争を見ているようだ。
(俺だったら何が知りたいかなぁ。。)
一人で、ボンヤリ考えながら、紙に書き出していった
・名物社員(凄い仕事出来る人)のサクセスストーリー
・色んなテーマでの座談会
・面白い本や店の紹介
・新制度の説明(他社含む)
・他の部署の取組みや商品紹介
・競合他社紹介
・社内外の凄い人紹介
(こんなもんかなぁ。そして刷新するなら、もう一度、この部内報の意義を冒頭で本部長に語って貰うか)
中身の案はある程度出てきたので、後はハード面、つまり安物の白黒冊子をどうするか課題だ。
カラーにするのであれば、当然印刷費用はUP。
2倍どころの騒ぎではなく、4〜5倍に跳ね上がる。
今年の予算内で対応するには、当然取捨選択が必要になってくるので、今回は一回のページ数の削減と、発行回数そのものの削減をすることで調整することにした。
ある程度自分の中での案が固まってきたところで、顔を上げてみるとまだ出張者席でPCに向かう陽川の姿が見えた
(あんなこと言われた後だし、進捗報告してみるか)
TK工房「陽川さん、ちょっとお時間良いですか?」
陽川「ん?どうした?」
TK工房「今朝アドバイス頂いてから、福徳さんに相談したんですよ。廃刊も含めて」
陽川「へぇ。で、どうって?」
福徳本部長の意向を伝え、それを受けて自分で考えた変更案を説明した。
陽川「ふーん。まぁ、そういうことなら、続けるしかないし、そのために読ませるものにせんとな。で、そのカラー印刷案やけどさ。それって印刷する必要あんの?そもそも」
TK工房「え?」
陽川「社員全員PC持ってんねんから、PDF配信にしたらええやん。」
TK工房「確かに、、、」
陽川「そもそもお前のそのアイデア、俺はオモロイと思うけど、事前にアンケート取っといたら?出てきた要望を聞くかどうかは別にして、読者側の意見を聞いといた方がええで。お前自身の知見になるのと、一応読者の意見を汲み取ったという実績にはなるからな。現場から乖離した一人遊びというような批判は減るやろ」
TK工房「なるほど。。アンケートって、どうやったら良いんですか?メール配信するにもさすがに全員のメルアド把握してないですし、子会社とかも含めるとなると、、、」
陽川「あぁ、メーリスがあるねん。それで関係社員全員に一斉に送れるわ」
TK工房「あ、そうなんですね!調べてみます!」
続く
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