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第29話 久々の本社出勤

2週間の研修が終わり、今日から久々の本社出勤

先週までの2週間はひたすらカバン持ちをやって朝から晩まで出ずっぱりだったTK工房にとって、現場で濃い体験をさせて貰えたのは良かった反面、いわゆる本社でのデスクワークが待ち遠しかった。

(いやー、今週からついに本格的に本社勤務やなー。どんな感じなんやろ。今までの現場での経験踏まえて、ゴリゴリマーケティングとかやっていけんのかなー)

2週間ぶりの本社に到着し、エレベーターホールまで進むと、社員が何人か並んでいた。

(社内で先輩社員に会った時はしっかり挨拶するようにって人事担当に言われてたな)

TK工房「おはようございます!」

すると、並んでいた社員はビクっとなり、こちらを振り返るも、マトモに顔も見ることなくしどろもどろで挨拶を返してきた

(なんじゃこいつら?)

その後、エレベーターのドアが開いて乗り込むとまた何人かが小走りで乗りこんで来たが、誰も挨拶をしようとはしない

(新人研修担当の若手も、新人には偉そうに"挨拶は基本マナーとして徹底するように"とか言うとったけど、おっさんから若い奴まで誰もやっとらんやんけ。全員ダサいな)

そうこう考えてるうちに7階に到着。社員証をかざし自動ドアを進むと2週間ぶりに自分の机が出迎えてくれた。

TK工房「おはようございます」

東本「おう、おはようさん。2週間の研修お疲れやったね。また後で話聞かせてもらうわ」

時計は8時半を回ろうとしていたが、相変わらず部署の人間はまだ半分程度しか出社していない。ブラック企業でないことは確かだ。

自分の机の上には、何冊かのビジネス誌と報告書のようなものが置いてある。それぞれに小さな紙がホッチキス留めされてあり、その紙には部署のメンバーリストが印刷されてあるようだ。どうやら読んだ人間が自分の名前の横にチェックをし、まだチェックのついてない人間に回して部内で回覧する制度らしい。

自分以外の人間は全員チェックが入っていた。2週間研修でいなかったため、回覧物が溜まっていたようだ。

一番時間のかからなそうな薄い報告書を手に取ったが、そこには各営業部の対予算月次報告が書かれてあり、新人のTK工房にはさっぱりだった。

(後で東本さんに聞くか)

「おはようございまーす」

振り返ると2年上の先輩、小西が出社してきていた。

小西は慎重175cmで、体重は92kg。
デブメガネというあだ名がしっくりくる、オタク丸出しの風貌。
席に着くなりメガネを外し、カバンから取り出した洗顔ペーパーで顔を拭き始めた。

(デブキャラやなー)

続いて、部長の畑中と課長の竹尾が談笑しながら入ってきた。この二人は非常に仲が良く、どうやら昔からの先輩後輩としての付き合いがあるようだ。

(楽しそうでええなぁ。俺も20年後くらいにはこういう関係の先輩や後輩が出来てるんかな)

ふと時計を見るともう8:59になっていたが、まだ一人来ていないようだ。

そう思った矢先にドタドタと走る音が近づいてきた。

「はぁ!間に合った!」

現れたのは、小西の同期に当たる村田という一般職社員だった

小西「村田氏〜今日もギリギリですな〜」

村田「いやいや、今日はたまたま1本乗り遅れただけですよ〜小西氏〜」

小西「いやいや、そのセリフ、今月既に3回は聞いてるでござるよ村田氏〜」

村田「記憶にございませんなぁ〜」

(え、何このオタがらみ?ようわからんけど、とりあえずホワイトな職場なことだけはわかった)

始業のチャイムが鳴る

続く

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