第38話アンケートと意外な反応
「うん、まぁこれで配信してみて」
作ったアンケートを竹尾課長に持って行くとあっさりと承認され、拍子抜けするTK工房
「メーリスの送り方教えて貰えますか?」
「あぁ、アドレス帳で検索出来るよ。industrialって打ってみ」
「あ、出てきました。これですかね?」
「うん。それ」
本文にアンケートの背景を記載し、アンケート添付してメールを送信した
「どれくらい答えてくれますかね?」
「まぁ、10人来たらええとこちゃうか」
「えー?10人なんて10分の1も答えてもらってないじゃないですか」
「いや、そんなもんやで。みんな忙しいし。まぁ、気長に待ち」
(そんなもんなんかぁ。それだけみんな興味ないんやなぁ。まぁ気長に待つか)
大きく伸びをした後、気分転換に事務所の外にある自販機コーナーに向かった
自販機前の休憩スペースに着くと、同期の外村が猫背でコーヒーを飲んでいる
「おぉ。外村。元気?元気なさそうやけど(笑)」
「え?そんなこと言うなよ。元気モリモリやっちゅうねん。・・・はぁ」
「ため息ついとるがな(笑) 何?やっぱり仕事きつい?お前んとこ残業多そうやもんな」
「残業多いのはええねんけど、残業つけられへんのが辛い」
「何それ?人事に言うたら?」
「そんなんできるかよ。うちの部署みんなつけてないし、仕事むちゃくちゃ出来る人も遅くまでサービス残業してる中で、新人の俺が残業なんかつけたら殺されるわ」
「うわぁ。最悪の部署やな。」
「いや、そうは言っても、勉強させてもらってるという感覚もあるんよ。新人のうちから、ありがたいなと。。。」
「思ってへんやろ(笑) あんま思い詰めんなよ。過労とか鬱とかなったら洒落ならんし」
「うん、僕もわかってるよ。ありがとう」
そう言うと飲み終えた紙コップを専用のゴミ箱に捨て、外村は事務所に戻っていった
(帰国子女の外村を国内のゴリゴリドブ板営業&社内資料作りにつかせるかね。どんな采配やねん)
缶コーヒーを買い、そのまま自分の席まで戻ると、タイミングよく机の電話が鳴った
(ん?俺のとこ直通の外線?誰やろ)
「はい、四菱樹脂工業です」
「・・・香港の月森です」
(月森、、、って、あの月森さんか!)
「あ、はい!お疲れ様です!」
「TK工房さん?」
(え、何で俺のこと知ってんの?)
「はい!私です」
「どうも初めまして、月森です。アンケート見たよ。凄く良いね。後で答えておきます。」
「ありがとうございます!」
「TK工房さん、神戸大学やんね?」
「え、はい。よくご存知ですね」
「僕も神戸大学やねん。日本に帰った時、また飯でも食べに行こう。」
「そうなんですね!是非お願いします!」
「で、福徳さんいるかな?」
「あ、はい。少々お待ちください!」
「福徳さん、月森さんからお電話ですので、繋いでよろしいですか?」
「あーはいはい。繋いで」
福徳本部長に転送して受話器を置いた。
(あの月森さんが俺のこと知ってくれてる!口の悪い陽川さんが唯一褒めてた月森さん。アンケートも褒めてくれたし、めちゃ嬉しいなぁ)
ルンルン気分でメールを開くと、早速アンケートの返信が返ってきている
(お、早速返信くれてるやーん!松下さん?誰やろ)
一番早く届いていた松下という人物からの返信を開いくと、その冒頭のコメントに驚いた
『カラー化なんて大反対です。現場感が無さすぎる。廃刊を希望します』
(な、なんじゃこいつ!?)
続く
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