新型コロナなとき、新型ヒロシは世界を吸い込む
閑散とした社員食堂へ昼食を摂りに行く。かつてこの時間はガヤガヤしていたものだったが、フロアは静まり返り、ぽつんぽつんと離れて座った人たちが静かに箸を動かしている。向かい合って座ることが無いように、テーブル型の席の片側は封鎖されている。僕は窓際の席に座り、マスクを外して食事を始めた。
口に運んだサバの塩焼きは確かに良い味なのに、その本当の美味しさはどこか損なわれたような感覚があった。地上八階にある食堂は見晴らしが良く、かつては道路を行き交う車や、次々と発着する飛行機をぼんや