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中村佳穂さんと愉快な仲間たち @ 昭和女子大学人見記念講堂 2022/10/07(金)

秋ツアー「TOUR ✌ NIA・near ✌」を観てきた。

音楽を鳴らしている"人"たちと同じ空間を共有して、空気の振動を直接浴びること。これが、自分が生きていくために必要不可欠な要素なのだと、強く実感した。

中村佳穂さんのライブは、LIVEWIRE等での配信を通じてオンラインでのみ観たことはあった。それらの体験を経た時点では、バンドアンサンブルというよりは弾き語りがメインのアーティストなのかなというイメージがあった。

蓋を開けると、想像していたよりもずっとグルーヴに溢れたエネルギッシュな側面もあって、さらにはイメージしていたような、弾き語りで丁寧に言葉を紡ぐ魅力もたっぷりと届けてくれた、そんなたくさんのチャプターで構成されたライブだった。

(全編通して動画撮影も可能だったが、やはり会場に行ったら耳に焼き付けることに専念してしまったので、途中のリンクは公式音源とした。)

ライブの初め、佳穂さんとバンドメンバーが温かい雰囲気で笑いながら入場してくると「グルーヴを合わせよう」と言って会場全体でハンドクラップの遊びをするところがスタートだった。先にネタバラシをしておくと、「アイミル」はなんとこの日2回も披露してくれた。

アルバム『NIA』のリリースツアーなので当然『NIA』からの選曲がメインで続いた。「さよならクレール」の、メッセージには悲しみを含みつつも曲終盤に向けて感情を爆発させていくような盛り上がりは最高だった。ベースの越智俊介さんの速弾きも言うまでもなく観客を魅了していた。

会場のボルテージが最高潮にまで達したところで、「静かな曲やるよー!座れー!」と佳穂さんが叫んだところが最高に面白かった。笑

宣言通りテンションを落としたチャプターに入るのだが、コーラスの高橋あず美さんと植松陽介さんを迎えた「get back」がとにかくかっこよすぎた。"ライブ映え"という言葉はもはや陳腐かもしれないが、ライブを通して成長する曲なのかなと感じた。

バンドスタイルに戻って、バンドアンサンブルと会場のグルーヴがまさに一体となったように感じたのは「you may they」「GUM」「LINDY」のストリームだった。特に、伊吹文裕さんと深谷雄一さんのツインパーカッションがすさまじかった。「you may they」の途中ではドラムバトルのように2人がパフォーマンスの応酬を繰り出すシーンがあり、見応えたっぷりだった。

いずれも『NIA』収録の曲ではないが、自分にとっては全て初めて生で聴いた新鮮な曲群だった。特に「GUM」のイントロのワクワク感は物凄い。

そして本編終盤の「MIU」は、冒頭の一音目で目頭が熱くなったのを覚えている。膨大なエネルギーを開放した後に、心の奥から絞り出すような声とともに切実な想いを歌うこの曲は本当に大好きな曲だ。

常々人間離れした存在だと思っている佳穂さんにも人間的な魅力が溢れているんだなと、彼女の表情の中に発見した。さらには、そんな憧れの存在である彼女と同じ空間にいる喜びが沸々と込み上げてきて、曲が終わる頃には自然と涙していた。

本編最後を「NIA」で締めくくった後、アンコールもパフォーマンスしてくれた。ライブでは再現できないだろうと話していたらしい「KAPO」は、日常的な温かみと多幸感に溢れた演奏だった。

この日特筆すべきは、事前に募った一般コーラスのメンバがアンコールで登場し、ステージ後方でバンドメンバーと一緒に歌ったことだった。

さらには特別ゲストとして日向ハルさんも迎えた。名前に聞き覚えがあるなーと思っていたら案の定、自分がかつてハマったことがあるフィロソフィーのダンスのメンバだったと後から知った。

「絶対みんなが知ってる曲!何故なら最初にやったから!」と佳穂さんが口にして、この日二回目の「アイミル」披露。一回目と比べるとみんなで歌うことのエネルギーは強かった。

何より、一般コーラスの方々は本当に佳穂さんが、音楽が好きで歌っているんだろうなと思うと、それぞれの人生やストーリーがありながらも、この瞬間だけは自分と同じ想いで音楽に没頭しているのかと嬉しくなった。

ステージ上のメンバが「GO GO」で拳を振りかざすのとともに行進するような「そのいのち」で、アンコールを締めた。

明日を生きるエネルギーをもらったような、幸せなライブだった。中村佳穂さんと愉快な仲間たちの皆さん、ありがとうございました。


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