労働判例を読む#259
【キャバクラ運営A社従業員事件】大阪地裁R2.10.19判決(労判1233.103)
(2021.5.28初掲載)
YouTubeで3分解説!
https://www.youtube.com/playlist?list=PLsAuRitDGNWOhcCh7b7yyWMDxV1_H0iiK
この事案は、会社Xの経営するクラブの従業員Yが、私的交際を禁止する規定に違反して副支店長と交際したため、そこに記載された違約金200万円の支払いをXから請求された事案です。裁判所は、このような規定は、①労基法16条(違約金や損害賠償額の予定の禁止)に違反し、②公序良俗に違反するとして、無効と判断しました。
1.実務上のポイント
考えようによっては、労基法16条違反だけでXの請求を否定することができたはずですが、裁判所は、私的交際が自由なのにそれを制約してはいけない、真摯な交際まで禁止するのは行き過ぎ、などと説明したうえで公序良俗違反としています。
この考え方の背景は、雇用契約は会社で仕事をする契約であって、原則として私生活上の活動まで関与できない、という「私生活上の非行」と共通する問題です。例えば、会社業務に具体的な影響がなければ懲戒処分できないのですが、違約金も懲戒処分と同様の性格があると言えるでしょう。
Xは、約束したのにそれが無効というのは納得できない、ということでしょうか。控訴したようですがやはり棄却されています。特に労働法の分野では、契約すればなんでもできるわけではないという点が、改めて確認しておくべきポイントでしょう。
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