労働判例を読む#528
※ 元司法試験考査委員(労働法)
【グッドパートナーズ事件】(東京高判R5.2.2労判1293.59)
この事案は、派遣の介護士Xが、就職1年目で会社Yに更新拒絶され、この更新拒絶が無効であると争った事案です。更新拒絶が明示されたのは1回だけですが、1回目の更新拒絶が無効となれば、再度、2ヶ月の契約が成立しますので、その満了時に2回目の更新拒絶があったかどうかが問題となりました。
1審は、Xの請求のうち、2回目の更新拒絶までの間の賃金請求などを認めました。
2審も、損害賠償の金額を修正したほか、1審と同じ結論としました。
1.実務上のポイント
Xが、他の従業員の業務を妨害した(例えば、施設利用者への虐待の事実がないのにこれがあった、と区役所に通報するなど)事実について、2審は、虐待の事実が無かったことを一審よりもしっかりと確認しており、更新拒絶の合理性の証明に1審よりも近づいているようですが、結局、合理性は認められませんでした。
やはり、問題社員の問題行動は、しっかりと記録しておかなければ、人事的な対応が制約されるのです。
※ JILA・社労士の研究会(東京、大阪)で、毎月1回、労働判例を読み込んでいます。
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