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未来のVCの形の潮流を創る③【世の中の流れと価値観づくり】

ベンチャーキャピタルって仕事は無くなる?

「ベンチャーキャピタルって仕事は、将来的にはなくなるだろう」という話を、15th Rock Venturesのパートナーの源とたまにしている。

私は東芝の研究者を辞め、VCの世界に入り今年でちょうど11年。それなりの経験と実績を積んだとは思うが、改めてVCの仕事って何だろう?と考える。

「スタートアップに資金を提供する」
「スタートアップの成長をサポートする」
「起業家に寄り添ってハンズオンで支援する」
「起業家の良きパートナーとして」

などなど。このようなよく言われていることを、私達も実践しているとは思う。ただ、それだけなのか?それではただお金を出して起業家が頑張る所に乗っかり、たまにちょっと価値を提供しているだけの仕事で、そのうち価値がなくなって仕事がなくなるだろう。

VCを単純化していうと、LP投資家から投資して頂いたお金を、10年というファンドの期間に複数のスタートアップに投資してリターンを稼いでそれを投資家にお返しするのが仕事である。一方で、起業家はスタートアップとしての夢を語り、その世界観を実現させて、新しいサービスや製品を世の中に出して世界を変えるのが仕事である。VCは、そのような複数の世の中を変える起業家に投資して、各スタートアップの成長したリターンを合わせてLP投資家にお返しする。

よくよく考えると、VCは世の中を変えるといっている複数の起業家に投資をするので、全部成功すると当然ながら、世の中ってメチャクチャ変わるよね?つまり、VCって、世の中の流れの大きな方向性を捉えて、世の中の変化を大きく加速させるのである。

世の中の流れを創っていく、そして価値観を考え続ける

我々の最大のサポーターでもある孫泰蔵さんと話している中で「VCは世の中の流れを創っていくのが一番の仕事である」と教えて頂いた。これには非常に腹落ちし、我々はまさにそれを目指さなければならないと考えている。

この世の中の流れを創っていくために、
「投資テーマを掲げてその分野の流れを加速させる」
「それを支えるコミュニティーを創っていく」
「価値観を考え続ける」

という三点が、我々がやっていかなければならないことである。

この一つ目がHuman Augmentationという投資テーマであり、二つ目が、スタートアップスタジオのスピリートでやっているコミュニティである。
三つ目の「価値観を考え続ける」というのは、特に人の体を拡張する(Human Augmentation)というテーマを扱っている我々は、常に考え続ける必要があり、どんな世の中にしていきたいかとともに、我々が望まない世界を言語化してある

Human Augmentationは大きな可能性を秘めている一方で、社会の価値観を毀損する恐れもある。従って、我々は下記のサービス・テクノロジーを支持しない。
- 社会の価値観を毀損するもの(社会的にドーピングにあたるもの)
(ex.デザイナーズベイビー、不老不死)
- 人間から意志や努力や向上心を奪うもの
- ハンディキャップを助長し、ダイバーシティを前提としないサービス・テクノロジー
- 人間性を損なうもの

この価値観や世界観はとても重要で、今後も常々見直していかねばならない。そしてそれは、我々だけが考えるという独りよがりではなく、多くの方々の知恵も持ち寄ってアップデートしていきたいと考えている。

近々、これを読んで頂いたみなさんや想いのある方々と議論をしていく場を発表したいので、是非ともご参加下さい。

最後に。3回に渡って長々と、若干マニアックな文章を最後まで読んでいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

Tetsu Nakajima(中島 徹)


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