🌙 欲しくてたまらないの🌙
嫌な記憶が蘇り呻吟し、
真っ赤な暁をみながら泣き叫んでいた。
小学生の頃、周りの女の子の中でキラキラしていたパステルカラーの文房具が流行っていた。
ギャルみたいな女の子のイラストの鉛筆
かわいいチャーム付きの鉛筆、
お菓子の匂いの練り消し、
まめゴマ、リラックマ、サンリオキャラ、
とても可愛い文房具ばかりみんな持っていた。
私は、凄く欲しくてママにお願いを毎日したりしてみた。でも買ってくれなかった。
朝の会が始まるまでは、みんな文房具の購入品紹介を行っていた。
私は、囲まれている女の子にただただ
『かわいい〜❕ いいなぁ~~…私も欲しい……』
とみんなと一緒になって言っているだけだった。
みんながどんな目で見ているのか、
キラキラ輝かせる目元を……
私も囲まれて真ん中からみんなの、
みんなの
目線を沢山浴びてお姫様みたいになりたい。
クラスのお姫様になってみたい!
そう思う事しか出来なかった。
だって手に入らなかったから。
シール交換では大きくてぷっくりしてるシールが人気。ぷっくりシールを持っていた子達はやっぱりプリンセスのように輝いていた。
私のシール帳にはちっちゃい平たいシールばかりだったから、大きくて1番欲しかったぷっくりシールとは交換出来なかった。
私は休日にお母さんの職場で使うレターセットを買いにデパートに連れてって貰った。
そのデパートの中には、可愛くてキラキラしてる女の子向けの文房具コーナーがあった。
私はお小遣いをもっていなかったので、お母さんにケーキを食べてる女の子の派手な鉛筆とウォーターシールを強請ってみた。
『勉強に使うんだったらそんな可愛くなくてもいいでしょ。』
なんて言われちゃって、拗ねていじけながら帰り道のどす黒い空を見ていた。ママにお願いをしても、
わたしの、私の欲しいものは何一つ手に入らなかった。わたしは家に帰ってシンデレラのDVDを見て目を輝かせては少しだけ泣いてた。
次の日私は万引きをした。
月曜日の朝、私の机のまわりには女の子が囲んでいた。あの時に見たかったキラキラしてる宝石のような目を見ることができ、私はお姫様になれたのだ。
1番やってはいけない方法なのに。
いつか、地獄が来るとしても…その地獄が朝会だったとしても、私の人生の青春には変わらなかった。
でも、悪魔みたいな方法で手に入れたこと、決して許される事では無いのも、重々承知している。
地獄がすぐ目の前でも、私にはあの空間がぷっくりシールみたいなものだった…
人気者になれて羨ましがれて幸せだった。
お姫様になれたんだもの。
いけない魔法でも、私は幸せだった。
私は欲しいものを悪魔の魔法を使って手に入れてしまった。