ASDや発達障害と関わるときに知っているとちょっと良いこと
ASDの脳に関すること、に書いたようにASDの脳の働きは独特で、そのため記憶の仕方や感じ方が健常者と異なります。
例えば、
リンゴ、バナナ、みかん、イチゴ
という言葉を聞いたとき、健常者だと・・・
リンゴ、バナナ、みかん、イチゴ
のように言葉の間に点が入って聞こえます。
しかし、ASDの場合は・・・
リンゴバナナミカンイチゴ
のようにひとつながりになってしまう、ことが多いです。
これだと、
何を言われたのか分からないですよねぇ・・・。
ASDは一度に丸覚えしてしまうことが多いので、このようになってしまうのです。
そこで、
同じ文章を言葉ではなく絵で伝えると、どうなるでしょう・・・
🍎🍌🍊🍓
これだと見て何があるのか分かりやすいですよね。
このように、言葉で伝えて理解が乏しい場合は写真や絵で伝える方法が良いことがあります。
ASDは、物事の因果関係をセットにして覚えることが多い
例えば、
3時になったから、おやつが出る。
と覚えていても、
おやつが出るから、3時になった。
とは思えない人が多いのです。
なので・・・、
このような特徴の人に、3時に話をしようと思ったら、
3時になったら話しましょう。
ではなく、
おやつを食べたら話しましょう。
と伝えたほうがいいと思います。
ASDは出来事のうちで、自分の見た部分だけを独立して理解する。前後関係を推測することが難しい
例えば、
A風が吹く→B埃が舞う→C目にゴミが入る→D涙が出る→E涙をふく
この流れのうち、たまたまB、C、Dを見たとすると
埃が舞って目にゴミが入って涙が出た
ということは理解するが、
埃が舞う前に何があったのか、涙が出たからどうするのか、
などを推測することは難しい。
なので、
このような人に話をするときは、前後を端折ることなく順序だてて伝えることが大事だと思います。
このほかに、ASDの人は・・・
一つのことに集中してしまうと、それ以外の情報が入りにくくなる(シングルフォーカス)
これが強みになれば、
興味のあることに対しては、思いがけないほどの力を発揮します。
(周りが見えなくことで、危険にさらされることもありますが・・・)
一度に多くの情報が存在すると、どれが一番大切な情報なのか分からなくなる
例えば・・・
上の写真を見たとき、健常者であれば中心で大きく写っているカメラが目に入ってきやすい、と思います。
ASDだと・・・
カメラも、レンズのふたも、フィルムも、フィルムの袋の白い部分も、後ろにあるバッグも、バッグについてるカメラのマークも、レンズに写りこんでる影も、床も、etc・・・
全部同情報として入ってきます。
これだと、どれが必要な情報で、どれが必要ない情報か分からないですよね。
話をするときも同じで、話相手の声だけでなく、エアコンの音、換気扇の音、風の音、ほかの人の話し声、etc・・・。
それらが、すべて同じ大きさで聞こえてきます。(マイクで周囲の音をとらえたのと同じ感じ)
健常者は何が必要な情報で、何が必要ないものか、選択することができます。必要な音は大きく、不必要な音は小さく、脳内で処理するのです。
なので、
必要な情報を伝えたり、作業に集中してもらいたいときは・・・
物理的に聴覚や視覚からの情報を統制して、必要な情報に注意を向けやすい状況を作る必要があると思います。
→物理的構造化
この他にも・・・
・時間の構造化(スケジュールを作る)を行うことで、予期不安を軽減させる。
・言葉で伝える(伝わる)のが難しい時は、カードを利用するなどの代替えコミュニケーションを行う。
・他人がどのように感じているか、などを推測することが苦手人には、カトゥーニングやコミック会話によって、相手がどのように感じているかを分かりやすくする工夫が必要。