EtO
不思議な不思議な、超短編。
ふとした瞬間に訪れる、白昼夢の記録。
「作品利用規約」という記事を必ず読んだうえでご利用ください。
作品利用前に必ず【毎回、座組全員が】利用規約を確認してください。 一部脚本を主に演劇を想定してはりこのトラの穴にもアップしております。 一人用FからGへの調律▽ Fの調律 隣の座敷から漏れ聞こえる▽ 艶笑一席 あの少年▽ 君に言ってんだぞ、ヘルマン・ヘッセ バレンタインデイ▽ 京女のブランデーケーキ 桜の木の上には▽ このしたやみ きっと恋ではない▽ つみつくり ダンスに向かう人へ▽ デビュタントへ 読み聞かせに▽ 「なんだかよくわからないもの」のはなし 復讐▽ 盆のかえ
私の住むところは、山に囲まれたところです。庭の植木、そのまた隣の庭の植木、木々の梢の重なっている向こうには、いつもたたなづく青い山が見えています。 山さえ見れば、私は、山の一番上に生えている楓の木。そこに立っている天狗のことを考えます。 下駄の一本歯を木の頂点に据え——他の天狗はいざ知らず、私の天狗は粋な一本歯の下駄を履いています。真っ白の、山伏か童子かというようなふっくらした衣を着、赤い顔に豊かな巻き髪のかかって、山の風を一身に受けているようなその涼しい姿をおもうと、
柚:少年のみ。 伸介:少年時代と中年時代があります 40分程度? +++ 0:(中年の伸介、病院の出口で) 伸介:……そうですか、おたくも……。いやうちはまだいいですよ。鎮痛剤がよく効いていて。はい、痛みはないようなのでね。でもかなり高齢ですからね、手術って言うのも……そうでしょう、よくわかりますよ。あ、……あー、雨だ。それじゃあ、また。またお話ししましょう。ええどうぞ、お先に。傘を忘れたんでね。 0:(ライターをカチカチと鳴らす) 伸介:(心の中で)煙草の火もつかない
利用規約をご確認ください。 キャリー:キャリー・ランジュイ。女性作家。若い世代に人気があり、現在も執筆中。 ユージン:高校の教諭。キャリーの大ファン。 ※40分程度? +++ ユージン:キャリー!キャリー・ランジュイ?うわぁ、本物だ。ようこそ。 キャリー:初めまして!あなたがユージン? ユージン:そう、あなたの大ファンのユージン!来てくれてありがとう。我が校始まって以来の名誉だよ。 キャリー:びっくりしたわ、ここが私の母校だっていうこと、若い頃のインタビューで一
ベランダに植物を買いたかったので、買いました。 下に行くにつれて幹が樽のように太くなるあの、小さな樹です。 ちょうどそれが欲しかったので買いました。あれってバオバブじゃないんでしたっけ? でもバオバブで良いと思います。 バオバブという樹の名前は、大きな樹になるはずの名前です。私をあの小さな星に連れて行ってくれるスペルです。 この樹はいつか大きく育ってすべてを枯らしてくれます。 死にたくなった時は、バオバブに手から水をあげています。 私が死ななくても、この樹がそのうち世界を枯ら
エバタという男がおりました。 僕がこの男と話したのは中等学校の二年の冬、あるいは中等学校三年になる前の春、それきりです。名前もよく覚えておりません。エグチとか、エガワだったかもしれません。ただこの男の風貌が普通でなかったことはよく覚えているのです。鼻が西洋人のように高いのです。途中からぐぅっと曲がって、鼻先が上唇の方へ付きそうに垂れているのでした。肌が紙のように白く、目は細く、眉間には細い血管が透けていました。顔の中ほどで眼窩の窪みと頬の突ッ張りが異様な起伏を作り出して
まだ誰にもとられない手をして立っている人へ。 燃えるようなその手を冷やしてはなりません。 水晶などは握ってはなりません。 炎のような手をそのまま誰かにゆだねる事です。 もしあなたが、恋の焚火の上で足踏みをするような、そんな踊りをしたいのならば、青の似合うような人になるべきではありません。 もしあなたが、浅瀬を力強く泳ぎ過ぎる魚のように、前のめりな生きざまで踊りたいならば、赤の似合うような人になるべきではありません。 そんな風に思いながら私はカーテンに寄り添って立っています。
※朗読などに使っていただける短文集です。 ※利用の際は【作者:EtO】を必ず記載してください。 ※ 僕は世界で一番醜くありたい。 それでいて、足の爪の間から、髪の毛の根の元まですっかりといつも洗い上げて、世界の誰よりも清潔であることを自分だけが知っている、そんな風に生きていたいんだ。 これがそんなに高い望みでしょうか。 ※ あら、面白いですよ。あなたの御話はいつだって。 あたくしの話?ああ、さっき言いかけたことって、あれはあなた……いえねぇ、つまらないことですよ。ほんと
読む用はこちら▽ とらうま★これくしょん|EtO (note.com) C:18歳の少女 A:母親 D:ドクター 上演時間:20~30分 ※Tel.、Case.、Reportは読みあげない ※SOUNDは読み上げる。また、手元でノイズを作るシーンがある。 ※利用規約をご確認ください ———— C: 【CAUTION!】 ええっと、だから、 いまからするのは芋虫の背中の話です。 そう思って聞いてくれますか? D:【♪SOUND——電話の音がします。】 A:📞Tel.A
※朗読・声劇にもご使用いただけます。声劇用はこちら▽ とらうま★これくしょん|EtO (note.com) 利用規約はこちら▽ 作品利用規約|EtO (note.com) ———— 【CAUTION!】 ええっと、だから、 いまからするのは芋虫の背中の話です。 そう思って聞いてくれますか? 【♪SOUND——電話の音がします。】 📞Tel.A📞 あの、先生、夫がいつもお世話になっております。あ、夫ですか、いま、海外で……。 先生はあのー、話を聞く専門家ですよね。私あん
※フリーの魔法・呪術詠唱。使用の際は【作者:EtO】を必ず明記してください。 ※更新中 ※ 夢の城、うつつのあばら屋。 幻の草原、あしたの戦場。 滅多刺しの幼い心、傷だらけの腕。 僕は【拒否する】。全部全部! 【すべて夢幻のうちに(オールタイム・ドリーマー)】! ※ わたしは、全ての愛に別れを告げ、 いま最果てへと歩み出す。 月よりも冷ややかな無限の喪失、わたしの足は貫かれ、千万の蛍がわたしを思って大音声に喚く! この悲しみが世界を殺す!【ラバーズ・コンフリクト】!
※利用規約をご確認ください 莉生:男。絶叫あり 亜矢:莉生の元カノ 萌:莉生の今カノ ※この台本のラスト後に、10分弱のEXシーンがあります。事前にチェックすることをお勧めします。 ※30~40分(EXシーンを含めると40~50分)程度? ——— 0:(十年前、おさない萌と莉生) 萌:(すすり泣く) 莉生:ねぇ、なんで泣いてるの。 萌:うぇ、ぇ、いやだぁ、いやだ 莉生:いや?なにが? 萌:ふっ、う、(すすり泣き続ける) 莉生:ううーん。……かえりたくないの? 萌:かえ
【利用規約】をご確認ください 煌星:コウセイ。月国(ガッコク)宰相の息子。物語のはじまりでは二十五歳。 爛星:ランセイ。宰相の娘。コウセイの姉。 冽:レツ。賭場で育った孤児。片目が生まれつき、つぶれている。物語のはじめでは二十歳。 所要時間:60分程度? —— (ガラガラと賽子が鳴る音) 冽:参ります。ハッ!(筒を伏せる) 冽:賽の目は。 爛星:六。 煌星:俺も六。 冽:(筒を開けて)たがわず、六。続いて……。ハッ。 爛星:こたびは二。 煌星:二。 冽:たがわず、二です
今年も懲りずに古本屋で、題名も覚えていない本を探す。 あれをもらったのは確か、2019年の冬だった。雨と雪の中間のような、煮え切らない空模様だった。 大学院に進む前に、高校の恩師に貰った本だった、と思う。 「たまには小説も読んだらいいからね」 当時小説と漫画しか読んでいなかった私は恩師の言うことがよくわからなかった。はぁ、と曖昧に返事をしてきれいに包まれた薄い本をもらった。 小説は「たまには読んだら」というようなもので、もっとむつかしい本を読まなくてはいけなかったのではない
※フリーセリフ集としてお使いいただけます。 ※利用規約は適用されませんが、使用の際は【作者:EtO】はかならず明記してください。 ※自問自答集です。 Q、本を開いて読むことは、何の足しになるだろうか。腹もふくれぬ、耳は鳴る、ちっともわからぬ、悲しくはなる。 A、けれどお前が救われる。 Q、つらくなった時に思い浮かべる人は、僕が一番愛した人なのだろうか?苦しい時に思い浮かべる声は、僕が一番愛した声だろうか? A、僕は母を愛さない。母の声は僕の声だ。僕は僕を愛さない。否定、否
【利用規約】をご確認ください A:後輩。女性 B:先輩。女性 30分程度? ※自殺や自殺未遂の表現があります。メッセージアプリでのメッセージのやりとりを中心にすすみます ————— A:バイト先の、先輩だった。 A:10年前だった。 A:私は学生で、 A:シフトは土日メインで、 A:バリバリ入るバイトに比べて扱いが悪かった。 A:でも私は面の皮が厚かったから、 A:どれだけイヤな叱られ方をしても大きな声であいさつと謝罪ができた。A:「かわいそう、私」って思いながら