スーパーユラちゃん

短い小説を書きます。しょうもない作品しかありませんが暇でどうしようもない時にでも読んで…

スーパーユラちゃん

短い小説を書きます。しょうもない作品しかありませんが暇でどうしようもない時にでも読んでください。スーパーユラちゃんのことはひとつも書いてないです!

最近の記事

地団駄を踏みたい気分の友だちが(小説、読まんでいい)

「地団駄を踏みたい気分なんだけど」 ということで、地団駄を踏みたい気分の友だちとすっかり皆が寝静まった住宅街に繰り出す。 「地団駄日和だね。人っ子一人いないや」 友だちはズシズシ地団駄を踏み歩く。一体どんな日和だよ。 「そういえば、この辺りで今日から縁日だよね。ちょっと寄ってく?」 「こんな時間じゃもうやってないよ」 「まあまあ、それがやってるんだよ」 友だちは灯りの消えた提灯を辿って進み、あるはずのない季節外れの縁日へと繰り出し、そのうち広いお祭り通りへ。一帯は

    • ひまわり(本当に短編、読まんでいい)

      「今までお世話になりました。」 ある日突然、庭で育てていたひまわりが土から脱走してそう言った。水やりしながら立派に育ったなあと思っていたら、突然自我を持っちゃうからびっくりだ。 絵に描いたように風呂敷を木の棒の先に引っかけて、恬然と庭を越え、己の絶対的生息地からひょうひょうと抜け出すひまわり。 「どこに行くの」 「私にだって行くべき場所があるんです」 「家庭用ひまわりなんだから、大人しく庭で立派に育って、夏が終わる頃に夏と共に庭で終わりを迎えるべきだと思うよ」 「家

      • 富士山と息子(本当に短編、読まんでいい)

        「お母さん、僕の夢は、富士山を爆発させることなんだけど、いいかな」 寝る前に息子が突然、もじもじと伝えてきた。 富士山を爆発か。物騒だな。 「どうして?」 「今日学校で聞いたの。日本で一番おっきいんだって。そんなの、嫌じゃない。」 「嫌なの」 「だって一番だよ。おっきさが、一番だよ?」 息子は富士山がおっきいのが気に食わないらしい。 そういえば、新学期の身体測定のあとから息子は背の順が一番後ろになって喜んでいた。 小中学生の子供は、どうしてか身長を気にするよね。

        • 隣に住んでる暴れん坊将軍が(本当に短編、読まんでいい)

          隣に住んでる暴れん坊将軍がうちに訪ねてきた 「どうしても暴れたいのでお邪魔していいですか」 「いやですよ、やめてください」 将軍が今にも暴れて家先で爆発しそうなのでひとまず仕方なく中へ。(庭には大事に育てているサボテンがいて、最近やっと私に並ぶほど大きくなってきた) お客なので体だけでもと、コーヒーをだすが、今にも暴れだしそうな将軍。口に運ぶ腕を震わし、かたかたとコーヒーを揺らす。 「震えすぎて指にコーヒーかかってますよ」 「なんのなんの。拙者暴れん坊将軍」 とい

        地団駄を踏みたい気分の友だちが(小説、読まんでいい)

          耳の中でクモが脱皮していた。(小説)

          耳の中でクモが脱皮していた。 数日前から、左耳から絶え間なく 「カリカリ音」が鳴り響いていたので、 耳鼻科に行って検査をしてもらうと、耳の中からクモの抜け殻が見つかった。 それもひとつではなく、小さな抜け殻が複数。 医者もびっくりして 「耳の中で脱皮してる生物なんて見たことない! 大発見だ!」と大興奮していた。 ひとまずその場で抜け殻は全て取り除いてもらえたのだが、肝心のクモ本体が見つからない。 医者は、見つからないのであればもう耳から出たのではないかと。 見つ

          耳の中でクモが脱皮していた。(小説)

          詩(関係ないんだけど、この花の名前分かる人いますか)

          すると君は土の中から這い出てきた うんしょ、と綺麗な葉を土に押し付けて踏ん張って 土の中から根を出した君は もう前みたいに立派に立てなくなって ずるずると、花弁を、葉を、茎を、 たまに崩れながら土の上を這いずって 見せてくれた立派な根は 隠していてごめんなさいと言うけど、 隠すつもりもない顔をしても 隠されたつもりもないよ、 泥んこになって、悲しかった 大きくなったら君にあげようと ずっと大事にしていたのに 情けなく根の方ばかり大きく広がって とうとう君が見つけた(あちゃ

          詩(関係ないんだけど、この花の名前分かる人いますか)

          ドラキュラ(小説)

          「ひっ…来ないで…」 私を見て怯える彼女に、私は優しく触れた。 地面にへたり込んだまま後退りしても、 もう後ろは行き止まり。逃げ場なんてない。 残念なことに、彼女の瞳は紛れもない化物を映している。彼女の目から溢れた涙に、今日の月と同じ私の苺色の瞳が反射した。 「おねがい、助けて…!」 ホラー映画の最後が、後味が悪いことはお決まりである。身体中の血液を飲み尽くした私は、暗い路地裏を後にした。 ひんやりとした空気が立ちこめる夜の商店街。 フォークギターで聴いたことのな

          ドラキュラ(小説)

          おはよう。(小説)

          やっちゃん、 やっちゃん、 やっちゃん、おはよう。 パンを 焼いてるよ 今日は 寒いね コーヒーを 入れようか こたつ 入ってていいよ 本当に 今日は 寒いね あ 鼻 かみたいの ごめんね 昨日 新しいの 出し忘れてた それと どうしたの 寝癖 どんな 夢を 見たの 私は 今日ね パパの 夢を 見たよ あ 見て 窓の 外  雪 だよ 去年は 降ら なかった のにね 今年は 積もる かなあ 3年前の お正月に おばちゃんの おうちに 行った ときには たく

          おはよう。(小説)

          オコメノカミサマ(小説)

          大学時代からの習慣で、朝飯や夜ご飯くらいは食べなくとも生きていける体になっていたはずだった。しかし、お盆で実家に帰っていた期間に、なにもせずとも自動的に食事がでてくる生活に慣れきってしまったらしい。土曜日だというのに、朝早くに目が覚め、何かを食べたいという気になった。 冷蔵庫にあるのは、ヨーグルトとチューハイ。そして、昨日食べた牛丼のセットの卵だ。生卵が苦手な私の冷蔵庫には、ケース付きの卵がいくつか入っている。 今日はこれで目玉焼きでもしよう。ご飯は、たしか仕送りのダンボ

          オコメノカミサマ(小説)

          ジブンタナカ(小説)

          自分で言うのもなんだが、俺は陰キャだ。中学のときから友達といえる人は片手で数えられるほどしかいないし、ペア活動のときはお決まりのように余る。そして容姿は黒髪に眼鏡、趣味は漫画やアニメといった典型的なオタクだ。 だが、そんな俺も今日から大学生になる。このキャンパスライフで中高のときのような毎日を送るわけにはいかない。 張り切って前日に美容院を予約し、もさったかった髪を切り、調子に乗っていると思われない程度に茶色く染めた。 いつも行っていた地元の1000円カットでは、薄黄色い

          ジブンタナカ(小説)