街と調和していくために
午後4時 雨が止んだ。
新しい土地に住むことを決め、
その街を探索していた。
初めて乗る路線、初めて降りるホームの声が新鮮、
何も変わらない日常感、
静かに活気がある街、
タイマーをセットして矢印の方へ
下校中の集団の高校生が自転車で
すれ違う、
「なんか眩しい」
人生で一番今に集中できている
時期だったと思わせられる
集団の最後尾の男の子と目が合う
「気づかれた」
初めてきた人を察するように
でも漕ぐスピードは変わらず去っていく。
物件に到着してみたけど
平日の平穏な空間に
佇むお家がある。
「あっ、お邪魔します」
確認したいことを見てそそくさと
通り過ぎる。
通行人を装って突き当たりまでゆっくり歩く。
タイマーを止め忘れ、暫定で時間を決める。
近づいてきた学生に怪しまれないために
とにかく進もうと足を動かして、
おうちに入ろうとするタイミングに出くわして
時間を戻したい、
完全に怪しくて浮いている自分。
休憩したくて入ったお店で
コーヒーを楽しめないなんか緊張する、
街の人と情報交換したくて
思わずレジで
「ここいい街ですか?」
ときいてしまった、
店員さんは驚きながらもやんわりと
「いいところですよ」
と答えてくれて
なんか安心した。
やっと聞けた。
お店を出て
2ラウンド目スタート
「なんかいいな」
夜道を歩いていて
ポッポッポと続く道路に
寄り添うようにあかりが
照らしていて
暖かい街に居心地の良さを
感じた。
探索を終えて
必要ない傘を手に
暗くなった街に
溶け込んで
帰路に向かっている途中
またタイマーを止め忘れてた。
「また来よう、、、」
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