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東京都議会議員選挙-2025年|都議会議員の役割と仕事内容、投票時にチェックしたいポイントを解説

東京都議会議員選挙は、今年の6月22日に行われることになりました。都議会議員を選ぶことは、都知事を選ぶのと同じくらい重要です。
ですが、多くの人は都議会議員の役割をよく知らなかったり、選び方に迷っているのではないでしょうか?
そこで、この記事では都議会議員の役割と仕事内容、投票時にチェックしたいポイントを僕なりに、まとめてみました。
皆さんのお役に立てれば幸いです。

ぶっちゃけ、国政と都政(地方行政)は、役割が大きく違います

多くの人は、国政と地方行政を混同してしまっているんじゃないでしょうか。
僕も、かつては国政と地方行政がごっちゃになっていて、都議会議員がどんなことをするのか、あまりピンときていませんでした。
でも、国政と地方行政では、扱うテーマや仕事の範囲がだいぶ違います。
そこでまずは、この違いを押さえることで、都議会議員の役割が見えてくると思います。

・国政が扱う主な分野(外交、防衛、財政政策など)

国政は、日本全体の根幹に関わる大きな分野を扱っています。その例をあげます。

1. 外交:ほかの国との関係を築き、平和や貿易のバランスを取る
2. 防衛:自衛隊の運用や安全保障など、国を守る仕組みを整える
3. 財政政策:税金の取り方や国全体の予算配分を決める
 
こういったテーマは、地方自治体が直接コントロールするのは難しく、主に国会議員が議論や決定を行う分野になります。

・地方行政が扱う主な分野(福祉、教育、防災、インフラ整備など)

一方、地方行政は身近な生活に直結する領域を中心に動いています。その例をあげます。

1. 福祉:高齢者や子ども、障がいのある方など、地域の人たちに対するサポート
2. 教育:公立学校や保育施設の運営、教育環境の充実
3. 防災・インフラ整備:災害対策や道路、橋、公共施設といったインフラの管理
 
これらは、僕らの日々の暮らしと関係が深いですよね。東京都がどんな予算を組み、どんな施策を取るかによって、僕たちの生活の質や安心感が変わってくるわけです。

自治体運営の仕組みは『二元代表制』

二元代表制という言葉ですが、「聞いたことはあるけど、実は詳しくは知らない…」という方の方が多いんじゃないでしょうか。
僕も、「確か小中学校で習ったかも?」と思いますが、残念ながら記憶には残っていませんでした。
そこで、国政との仕組みを比べながら、二元代表制がどういうものか、僕が勉強しなおした内容をわかりやすく解説したいと思います。

・国政と自治体運営の仕組みのちがい

国政では、国会があり、そこで法律を作ったり国の予算を決めたりします。国会議員は選挙で選ばれますが、その後、国会議員の中から総理大臣(首相)が選ばれる仕組みになっています。
 
一方、地方行政には地方議会(都議会や市議会など)があって、ここでも議員は住民の投票によって直接選ばれます。でも、都知事や市町村長(首長)も、同じように住民が直接選びます。ここが大きなちがいです。
 
国政は「国会議員は国民が選び、首相は国会議員が選ぶ」のに対し、自治体は「議会と首長を住民が選ぶ」という構造になっています。

・首長(知事)の役割と仕事

東京都の場合、首長は「都知事」です。都知事は都のトップとして、都の方針や予算案の作成を主導します。
たとえば、コロナ禍での感染対策や、公共施設の整備方針なんかは、都知事が大きな決断を下す場面が多かったのを覚えています。
ほかにも、都の条例案を提案したり、都の職員を指揮監督する役割も担っています。
最近では、防災対策の強化に向けて、都市インフラの見直しを進めたり、子育て支援策を拡充したりといった仕事が目立ちます。

・二元代表制とは?

有権者から直接選挙で選出された首長(知事や市長など)と議会(議員)の二つの代表には、それぞれの権限があります。
 
この権限こそが、二元代表制の大きな特徴で、首長の強いリーダーシップと議会のチェック機能が並び立つ仕組みのことです。
 
たとえば、イケイケドンドンな首長が「予算をたんまりかけて、大規模な公共事業を始めるぞ~!」と提案したとします。
しかし、議会の議員は「ちょっと待って、その事業は本当に市民のためになるの?」「この予算は高すぎませんか?」「この公共事業自体に投資効果はあるんかい?」と怒涛のツッコミをして厳しく審議を行います。
 
もし問題点が見つかれば、議会の権限で、首長の提案に修正や中止を求めることもあります。
 
一方で、首長の提案が合理的で都民生活にメリットが大きいと判断されれば、議会は「さすが首長さん!この案でガンガン行きましょう!」と賛成して、スピーディーに実行に移します。
つまり、両者がバランスを取り合うことで、自治体の運営が公平かつ効率的になるためのシステムが二元代表制です。
 
これを是々非々(ぜぜひひ)と言って、立場にとらわれず、良いことは良い、悪いことは悪いと判断する健全な議会の姿だと、僕は思っています。

地方議会(都議会)の議員は、具体的にどんなことをしているの?

首長に対する議会のチェック機能を担っている議員ですが、具体的にどんな仕事をしているのか?実際には多岐にわたっているそうですが、都議会の議員さんを例に、その中でも代表的な仕事をあげてみます。

・議員の主な仕事の流れ

議員の仕事は、ざっくり言うと「質疑」「修正」「採決参加」「住民の意見集約」「提案」の5つです。
 
大まかな流れはこうです。首長(知事)が提出した条例案(国でいう法案)に対して、内容や疑問点を議会の場で質疑します。
もし、内容に問題があれば、条例案の修正を依頼します。
そして、条例案の採決に参加します。議会の場で「賛成!」「反対!」をします。ここまでの業務を『承認業務』と言います。
また、条例案の良し悪しを見るために、実際に住民の意見を聞いたりします。
時には、議員も住民の意見を基に条例案を提案します。(あまり多くない)
 
ちなみに、議員の仕事は条例を作る仕事と思われがちですが、条例案のほとんどは知事と執行部が作ります。執行部とは、都庁の職員さん達です。

・議員の仕事のポイント

都政を含む地方自治の議員の仕事の中でも、僕が特に重要だと思うのが上記の承認業務です。
条例や予算案がきちんと可決されないと、都民生活に直結する施策は動きませんし、逆に必要性が低い予算や時代に合わない条例を止める力があるのも議会です。
 
例えば、都議会で実際に合った事例で考えてみます。最近、受動喫煙防止条例やプラスチックごみの削減条例などが話題になりました。受動喫煙防止条例が審議されたときには、「飲食店の規制が厳しすぎるんじゃないか?」「いや、健康被害を考えるともっと強化すべきだ」という意見が真っ向からぶつかりました。都議会議員は、飲食業界や医療関係者、一般市民の声を聞いたうえで、この条例案を細かく修正しながら、最終的に可決まで持っていきました。
また、すでに存在する条例を廃止したり大幅に改正するときにも、議会での承認が必要です。時代にそぐわなくなったルールを見直すことで、新しい価値観や技術進歩に対応できるようにするわけです。
 
こうして見てみると、都議会議員はただ文句を言うだけじゃなく、都庁の施策を動かす“重要なハブ”として働いています。僕たちの生活が豊かになるかどうかは、この承認業務の場でどれだけ的確な議論とチェックがされているかにかかっていると言っても、過言じゃないと思います。

投票時にチェックしたいポイント

今年の6月22日に行われる都議会議員選挙で、「誰に投票したらいいか?」の判断基準として、僕なりのチェックポイントを以下にまとめてみました。
 
僕の考えでは、条例などの採決に必要な承認業務にしっかり取り組む都議会議員には、次のような資質やスキルが求められるんじゃないかと思います。
 
この記事をお読みの方の中には、一般企業での勤務経験をお持ちの方が多いかと思います。
そこで、一般企業で求められるスキルも例に挙げています。

1.収支判断能力と分析力

予算や条例案を審議するとき、膨大な資料を読み込んで中身の良し悪しを判断します。
たとえば「コロナ禍の補正予算は本当に必要な対策が十分盛り込まれているか?」を調べるには、医療や経済、各業界のデータを確認しなければなりません。ここで情報を正しく分析する力があるかどうかで、議会の審議内容も大きく変わってきます。
 
一般企業であれば、必ず「コスト管理」や「利益を出すための戦略」を考えますよね。都議会でも予算の審議が大きな役割のひとつなので、「支出と効果が見合っているか?」を判断する目が養われている人が求められます。一般企業なみの収支を考える感覚があると、行政が組む予算案にも“ムダ”を敏感に見つけられる可能性が高いです。

2.コミュニケーション力と協調性

都庁の担当部局や専門家の話を聞いたり、他の会派や議員と意見をすり合わせたりするシーンが、承認業務では頻繁にあります。受動喫煙防止条例の例でも、飲食業界や医療関係者、一般都民からの声をどう集めて共有するかがポイントでした。そこで他者の意見をうまくまとめ、みんなが納得できる落としどころを探る力が欠かせません。
 
一般企業の会社員として、部下や同僚と一緒にプロジェクトを進めた経験がある場合、スケジュール管理や折衝力が求められます。都議会では、さまざまな会派や都庁の担当部署、市民団体などの意見をまとめる場面が多いので、日々の業務で鍛えてきたマネジメント力や調整力が必要になります。

3.柔軟な発想と問題解決能力

条例や予算の承認業務では、「全体のバランスをどう調整するか」がカギになります。たとえば、新しい公共事業の予算を増やす場合でも、その分ほかの事業費が削られるかもしれません。「どこを優先するのが都民にとっていちばんメリットが大きいか?」を柔軟に考え、現実的な解決策を提示できる議員が求められます。
 
ビジネスの場においても、日々、予算と品質維持の格闘が発生しています。
製造業にたずさわっている方なら品質、コスト、納期の3つの要素(QCD)を強く意識して仕事をされているかと思います。都政に限らず、全ての行政においてもQCDの感覚は必要だと思います。

4.住民目線でのチェック力

最終的に都政の施策を受けるのは僕たち都民です。だからこそ、都議会議員には「この施策って、誰の役に立つの?」という目線で提案や予算を見極める力が必要です。過去の予算や条例を振り返ると、ときには経費がかさみすぎたり、実際には利用者が少なかったりする事例もありました。そうならないために、普段から住民の声に耳を傾け、地道な現場調査を行っているかが大事だと思います。
 
都民のほとんどの家庭は、サラリーマン家庭などの非公務員家庭です。
ディスるつもりは無いのですが、生活や社会において、公務員目線(政治家も含む)と非公務員の目線には差があると思います。
都政を担ってくれているのは、都の職員の方々です。当然、この方々は都民のために日夜奮闘をしてくれています。だからこそ、非公務員目線との融合(ハイブリッド行政)が重要になると思います。
 
こうした資質やスキルをしっかり身につけた議員が多ければ、承認業務もスムーズに進むし、必要な政策がスピーディーに実行されます。
僕たちが投票するときには、こういう視点で投票したい人を見極める必要があると思います。

まとめ

都議会議員は、国政とは異なる“地方行政”の重要な担い手であり、都知事と並んで私たち有権者が直接選ぶ代表者です。
首長(都知事)の提案をチェックし、必要があれば修正や中止を求めることで、都政のバランスを保つ「承認業務」を主な役割としています。
また、条例や予算案の審議においては、収支判断能力や分析力、コミュニケーション力や協調性、柔軟な発想と問題解決能力、そして住民目線で施策をチェックする力が求められます。
6月22日の都議会議員選挙では、こうした資質やスキルを備え、私たちの生活に本当に必要な条例・予算を見極めてくれる候補者を選ぶことが大切です。
ぜひこの記事を参考に、候補者の公約や経歴、普段の活動を確認してみてください。
私たち一人ひとりの判断が、これからの都政の方向性を左右すると言っても過言ではありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

書いた人:黒田よしひさ

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