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2022京大前期 古文問題の研究➁

問二 傍線部を、指示語が指す内容を明らかにしつつ、それぞれ現代語訳せよ。
※逐語訳すると、現代語訳にはならない難問。

(2)指示語は「それ」の内容は、「詠み手と顔を合わせて歌の表現を直すこと」。(4)
「己」が「歌の表現を直す本人」(2)、
「人」が「直される歌の詠み手」。(2)
「もて出でて言ふ」は
「己」が他人の歌を持ち出して、表現を直すことを口にする、という内容。(2)←ここが盲点!
《解答例》
    詠み手と顔を合わせて、和歌を直す場合でも、
    自分に和歌を直してほしいと頼るのでもない人に、
 その人の和歌を持ち出して直すことを
    口にしてよいことではない。


Sの解答
和歌をどのように直すのがよいかについても、和歌の師匠として自分を頼りにするのでもない人に対して、取り上げて言うのが相応しいことではない。

Kの解答
現存の歌人の歌を手直しすることも、自分に手直しを頼まない人に対して、面と向かって話題にして歌を修正せよなどというべきことではない。

Yの解答
和歌を直すことについての相談も、自分を頼りにしていない人に対しては、わざわざ自分から提案して言うべきことではない。


指示語「それ」の内容は、「その詠みたる人、世にあらばこそ、言ひもあはせぬべけれ。」を踏まえる。傍線部(2)の前後の文脈の、「その詠みたる人、世にあらばこそ、」「声だに聞くべうもなき古の人の」から考えても、和歌の詠み手と顔を合わせて話し合うことが可能な場合も他人の和歌を直すことは、頼まれていもいないのに積極的にしてはならないという文意になっていないのは、現代語訳としてアウト。答案の出来はY>K>Sは明らか。Sの「和歌の師匠」、Kの「和歌を修正せよ」は、現代語訳から逸脱している。


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