芳輪

白檀の匂いを嗅ぐと、その煙の流れに沿うように、
廻る法輪を思い描いてしまう。
甘やかな匂いの中に、薄っすらと苦痛すら感じるものだ。
その気配をいつも、罪深いと思っていた。
静けさの中に、蠱惑の誘い。
幾度罪を重ねても、止められるものではなかった。