静脈

雨は私の記憶を奪っていく
言葉を忘れていく
濡れた地面に漂う静かな雨の記憶が
私を苛立たせる
かすかな記憶を頼りに紡ぐ
暑い夏の記憶

腕の血管から抜かれた血
白く固まって
肌の上で血液になる
採取されたスピッツ管の
半透明ごしに赤い色が並べられていく
毛細血管の中で愛が震えて
永遠に消えない

#詩 #現代詩