環天頂アーク

駅前のホールにいた。
空間の中にぽつんと置かれたピアノ。その前に一人の人が座り、ピアノを弾いている。鍵盤から放たれる、宗教的な調べ。祈りと光とを合わせ持って、生まれ出る闇を柔らかく拭い去るような。
光は天から落ちてくる。速度を緩めて、今また柔らかく翻り、飛翔していく。
光の翼になって。

波のさざめきを聞いていた。きらめく光は、虹色になって消えた。
海は遠かった。