暗渠

思考はばらばらに重なり
手足は泳いで
どこか別のところに行こうとする

暗い湖のほとりを歩いていた
前を歩くあの人の背中を追って
どこにいるかわからなかった
草むらは夜の色が濃くて
空には月だけあって 目が慣れて妙に明るくなった
薄暗い中を歩く
水の流れ
足の裏の感触
土の柔らかな感触を感じて
暗渠と木の根をすり抜けて歩いていく
ふたり