夢路

その人が歌うとき
冬の香りがこの肌に満ちてくる

甘い憂いも朝目覚めるときには消えていた
盲目の少女が歌う
その表情の柔らかさに見惚れていた

夢を見る眠りのうちには
とめどない涙だけが溢れて
聞こえてくる言葉などにはもう
振り向く余裕などなく
振り返る理由などなく
その衝動に 意味などなかった