命燃ゆ

一雨ごとに夏の匂いが遠ざかり
秋の気配が濃くなってゆく

部屋の隅で小さな命は燃える
魂をくゆらせ
柔らかい花の香りを漂わせ

揺らめく灯りに 昨日の夢を見る
不安 恐れ 悲しみを
心の底に彷徨わせ
行く当てもなく

部屋の隅で 幼子は寂しい夢を見る
儚いもの 翳りのあるもの 永遠に続くもの
夢に見る母の面影
それらの何も 魂の慰めになりはしない