網膜と青空

思うことをやめると
感覚だけになる
風の音
風が頬を撫でる感触
空気の匂い
日差しのきらめき
それだけになる
肉体にあるのは感覚だけで
それ以外は全て手放していた

夏はいつもの翼で
蒸れた空気の中を突き進んでいく
後には晴れた青空だけが
網膜に染みていく

#詩 #現代詩