退屈姫

恋と退屈とロックンロール、あともう一つ私にはあって(まあそれは内緒なんですけれど)、それでも毎日は退屈で退屈で退屈で仕方がない。

浮世では誰も鋭いことを言わないし、暇なんかい受験生、というほど自慢話と悪口、異性の噂で教室はてんやわんやしている。クラスの男子が「出勤5休日2ってどう考えても疲れ取れんくね!?」と全く新しくない切り口で世相を斬ろうとしていて嫌だった。学校以外で知り合った友達と話しているとこういったくだらなさが浮き彫りになる、と同時に、世界の広さに対して、絶望に似た安心をする。私はとっても退屈だが、おまえらみたいに暇じゃない。けれども、私は頭が良いから知っている。本当の本当は私がいちばんガキだっていうこと、知ってるんだ。

買ってまだ読んでない本とか勧められてまだ観てない映画とかまだ知らない音楽とか気が狂いそうな程たくさんあって、先ほど実際に気が狂ったところである。夏は汗だくで冬は凍えている。そのうえ心は、躁/鬱/躁/鬱/鬱/鬱/鬱と忙しい。したがって友達の元カレの愚痴を聞いている暇など、私には無い。

ずっとうっすらと、なんとなく、狭い心が空洞のままだ。やりたいことをやって、やりたくないがやらねばならぬことはテキトーにこなす、を心がけているが、私はそんなに器用でないのだった。飄々としてたい。カズレーザーみたいになりたいんや私は。奇しくも今日は、真っ赤なセットアップを着ている。それでも私にはWiFiが見えない。

王子さま、退屈な毎日から救ってください。王子さまみたいな人が好きだ。あなただけのベイベー、仔猫ちゃんに、なりたい。ローファーは走りづらい上に窮屈である。金髪に染めて、運命のガラスの靴で、5Gを駆け出す。

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