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20日間の絵本制作~愚か者の失敗談~前半

これは2024年9月に行った、20日間の愚行ハイスピード絵本制作をまとめた記事である。

振り返ると失敗ばかりだったが、次回に向けての改善点が明確になった。
絵本を作りたいと思う方がもしもお読みならば、是非反面教師として役立てていただきたい!

前半では実際の作業や失敗エピソードによる3つの問題点について、
後半では振り返りと次回に向けての反省点のまとめをメインにする。

イラストと写真たっぷりです!

イラストを挟むので記事としてもさらっと楽しんでもらえるはず。
さあ、愚かなる20日間を見ていきましょう!

アイアム愚か者

私はイラストレーターと名乗っている。
しかし、その実態はイベントにブースを出したり個展やグループ展をしたりするようなものである。

現在は正社員を辞め、バイトをちょこちょこしながらイラストの活動を模索している。この期間のために貯金をしていたので、しばらくはじっくりやりたいことをやろうと思っている。

私には色々と目標があるのだが、その中に絵本の出版がある。
これは小学校の卒業文集にも書いた。

その後、実際に制作してみたのは21歳くらい。
この時は1年で2作描いた。
2作目は講談社のコンクールにも挑戦したが、落選の結果だった。

今でも大切な作品

その後、絵本のために資格を取って保育士になり、しばらくしてからは有名な絵本の編集者さんがやっている絵本塾にも入ってみた。(イラストの塾にも通った)

絵本塾は、ZOOMで各生徒がラフ(※画像1)の講評をひたすらに受けるものだったのだが、お話作りが上達せず後半はついて行けてなかった。

ストーリー作りが得意な方だと思い込んでいたので「こんなはずじゃなかったぞ」と落ち込んだ。今思うと、もっと喰らいつけばよかったのにと思う。

それからなかなか絵本の製作に本腰を入れられないでいた。

(※画像1)話の順序として早いのですが、「ラフ」のイメージのための補足です。

今回の挑戦

子供がテーマのイラストJINEを8月のイベント用に制作したのだが、これが楽しかった。ここから、「また絵本に挑戦したい!」と思い立ったのが今回の流れである。

その後すぐにに考えた話は、エンディングで王子の家を燃やしたシンデレラが読者を見つめて「そこを代わって」というもの。
コンペには暗すぎる!と思ってやり直す。

意図があってのバッドエンドだったので、いつか形にしたいな。


その後、9月1日に2時間で3つ出したストーリー案の中から、1番いいものを次の日にはラフにしてみた。

久々にお話を考えてみたらなんだか手応えがある。

彼にもラフをみてもらうと「おもしろい!」と言ってくれたので、
この勢いで20日後のコンペにも挑戦する目標を立てた。(ここが元凶)

この時、「今回はうまくいっちゃうかもな〜♪」という思い上がりがあった。

案出しとラフで2日しかかけていないのに…。
(この時のものが先述した※画像1のラフです。)

「プロの作家さんが新幹線の移動中だけで話を考えた」という話を聞いたことがあるが…
私 is not pro.  うまくいくわけないのである!

そして悪夢が始まったのだ!

楽観的すぎるだろ

問題点1:スケジュール管理

さて、制作の計画を立てよう。

ラフができたのが9月2日。
今が3日。コンペの締切は23日。

じゃあ後20日か…と思ったが、

郵送分の余裕が必要だと気づき、実質は残り18日間だと判明する。

不安がよぎりはじめる…。これ、いけるのか?

今回挑戦したのは15見開き+表紙とタイトルページ。
(補足:13見開きか15見開きを選べるコンペが多い。今回もそうだったが気合いいっぱいに15見開きを選択した。)

表紙とタイトルを1見開きとカウントして、全部で16見開き。

それを、下書きと色塗りの2段階とし、1日に2pずつ作業を進めたらいけると見込んだ。一日時間が取れない日もあるがなんとかなるだろう。

いけそうならばとにかく目標を変えずにやってみることに。

本当にいけるのか…?


進めてみると、終わったと思った下書き作業が、色塗り時に見返すとイマイチな出来でやり直さなければならなかったりと、スクジュールに遅れが出てきた。

結局、色塗りの時間がギチギチになり、「色がのってればよし!」レベルのやっつけ仕事が終盤にしばしばおこる。

そんな仕上がりの作品で誰の心が動くのだろうか…。

その頃に描いたエッセイ漫画。これを描いている場合ではなかったはずだが…。
内容は本記事と被るので読まなくても大丈夫です。

・不完全な段取り

話が戻るが、絵本の作成の段取りは、工藤ノリコ先生の制作がまとめられている『工藤ノリコBOOK』(2021)を参考にした。

イラストや絵本の紹介はもちろん、製作への想いや苦労した下積みでのエピソードもあり、非常に充実した内容となっている。
絵本に興味のある皆様におかれましては是非手に取っていただきたい1冊である。

ノリコ先生は沢山の細やかな調整や作業を経て制作をしている。ラフは何冊も作って試すようだ。

『工藤ノリコBOOK』には制作時の写真もたくさん!スーパーおすすめです!


ふむふむ、と思ったが、私には時間がない!ということで、

1回作ったラフで強行突破、色ラフなしのぶっつけ本番という

大 幅 改 悪 ! で挑んだのだ。


今では「何を舐めたことをしているんだ、このっ!」と思うが、時間に押されていて判断ができていなかった。また、めんどくさがりな性格も後押ししていた。

スカスカの段取り



3ヶ月くらい前に「BIG THINGS」という大きな企画の計画を立てるときの考え方的な本を読んだ。(私の企画は全てちっぽけなのだが…)

作者は、最初の計画が何よりも大切で、その良し悪しでうまくいくかどうかが分かれる的なことを言っていた。
とにかくやってみる、ではかかる時間もコストも質も悪くなることが多いと…。

この時も、ふむふむと思っていたのだが、まるで学んでいない。

私が今後できることは、ダメな自分の性格とか癖はぼんやりとした考えでは治らないとし、計画を客観的に見直し具体的な改善をすることである。


そのため、このように反省をしております…。後半の記事ではチェックリストも作ります…。反省を活かしていこう…!

問題点2:根本的に泥舟

冒頭で絵本の塾に通っていたことをチラッと書いたが、これは昨年度の事。

今年度は受講していないのだが、継続利用として、希望者は3ヶ月に1回ほどラフの講評を受けることができる。

今回、9月15日に講評が受けられるとのことだったので、色塗りに入っている状態だが受講してみた。

というのも、「今回は自信あるし褒められるかな〜」と思っていたのだ。

で、まあそんなことは微塵もなく、ラフの問題点がわんさか指摘され見事撃沈。


動き出した船は泥舟だったと気付かされるのだ。

ポジティブすぎるだろ

残ったのはオールだけ。身一つで進むことになる。

その後の制作では何度も「この泥船で進むことに意味があるのだろうか」と思った。

けれど、色塗りまできたし、やった先に何かあるかもしれないと思って、踏ん張ってやってみることにした。

ここで学んだのは、迷いがある中で制作するのは非常にストレスフルだということ。

疲れすぎて心身の疲労が酷かった。半目で暮らしていました。

「もうこんなことはしない!」と思うことができたのは収穫だった。

しかし私は愚か者なので「あ〜ん、そうだった!」と過ちを繰り返す可能性はかなりある…。賢い皆さんはこの屍を超えていってください。

・絵本塾で指摘されたこと

絵本塾で指摘された問題点を詳しくお伝えしておくと、
大まかに言われたのは以下の激ヤバ状況である…!

・テーマと展開につながりがない
・何をやってるのかわからない
・設定とアイデアに深みがない
・ラストに納得感がない


…もうストーリーの根幹が破綻していたのだ。

言われて、ぐうの音も出なかった。
こんなにも自分の作品の問題点に気づけていないものなのかとショックを受けた。
何が「褒められるかも^^♪」だ。

というか、昨年度も同じようなことを言われ続け、打開できずにいたのだ。
何にも学ばない私。

先生は、「もっと持ち味を活かせるストーリーがあるはず」と次回へのヒントも下さった。

「私、持ち味があるんだ!」
単純なので、次回作も頑張ろうと思えた。

せいぜい頑張ります


とにかく、私はストーリーをもっとじっくりやるべきなのだ。と再認識した。
次回はラフに時間をたくさん取ろう。

プロからもらえる意見のありがたさをひしひしと感じた。

ちなみにざっくりのストーリーは、
①不機嫌な子どもが家族で動物園に行く②怒っているので素直に楽しめない
③次第に機嫌を戻していく④ポニーに乗りたいと笑顔を見せるが時間終了しており絶望
⑥メリーゴーランドで機嫌を直す⑦あー楽しかった!おしまい

こう書き出してみるとダメなところが自分でもわかる…。
やりたかったのは「子どもの葛藤に寄り添うこと」と「素直な気持ちのかわいさ」を表現することだった。
写真は気に入っている1ページ目。

問題点3:ギチギチすぎてクオリティに気を配れない

先述したが、色塗りでは時間がなくてとにかく色をのせることに必死だった。
クオリティを精査する余裕がなかった。

余裕のない製作は良くない

しかし、15ページしかない絵本。本来は1ページ1ページに熱量を持って制作すべきなのだ。自身の画集としても恥ずかしくないものであるべきだ。

さらに出版を目標とするなら、クオリティを絶対に意識する必要がある。

絵本はものによるが1000円以上する。私の大好きな漫画より高い!
製本など色々違うことは承知だが、マジで最高のものでないと買ってくれる人を満足させることなどできないと思う。

ちんたらやっている隙などないのだ!
「全力の最高」をやっていかなければ。

おー!


それは書き込みを多くするとか写実的に描くとかではなくて、作品としての説得力の話である。作品として最高ということ…。

自分にできるだろうか…。
不安になるが、やりたいのでしょうがない。
頑張ろう!!!

こんつめ過ぎても辛いので、自分に合ったやり方が見つかるといいなと思う。
そのためにも、たくさん考えて、たくさん描くしかないのだが…。

できた原画。ずっしりしている。
できたものから壁に掲示して見返せるようにしていたので、
画鋲を刺せすようにテープが貼ってあるものがある。

まとめ

やっとまとめです。
長々と書いてしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます!

ちなみに、ギリギリですがコンペへの提出は間に合っています。
途中で不安になり絵本の制作をやめようかと何度も考えたけれど、やってみて良かったです。
かなり辛かったですが、工藤ノリコ先生もはじめは泣きながら制作していたみたいなので今回のも通過儀礼として思い出にします。

また、自分としては、今回できた絵本のことは気に入っています!

かわいいし、面白いし、自分らしいソウルの入った作品だと思っています。
「面白い」と言ってくれた人もいるし、その時の笑顔だけでも「作って良かったな」と感じました。

この世に生まれてくれてありがとう。
また書き直してあげたい!

ただ、それとは別に、
沢山の人に良さが伝えられる質のものではないことは、私の目標に対して問題ありと思っています。
ちなみにコンペの結果はまだ出ていないのですが、あまり期待していません…。

終盤には自分の制作の首を絞めるような、実力には及ばないクオリティあたりのことを書きましたが、これがいつか「あの時の考えのおかげで今がある」と思える日が来ると信じて、前半を終えようと思います。

後日投稿予定の後半は、具体的に改善策を挙げ、確実に次回作が良いものになるよう考えを書いていきます!
また、このあやまちを繰り返せないように「制作チェックリスト」を作る予定です。


10月中には後半を投稿すると思いますので、気になる方はフォローして待っていていただけると幸いです。
気になる方はまた読んでいただけると嬉しいです。回していけ、PDCAサイクル!

ありがとうございました!急な寒さに気をつけてご自愛くださいね〜


*鈴木いより
イラストレーター。名古屋出身、神奈川県川崎市在住。
米派、犬派。1995年生まれ。青山塾23−25期修了。
印象的な女の子、不機嫌な子どものイラストが得意。
お子様のポートレートも受注生産。
noteではマッチョと暮らすエッセイも描いてます。


*今後の予定

①11月17日(日)のコミティア150(東京ビッグサイト)に参加します

この記事と制作した絵本をまとめた冊子を販売しようと思っています。
記事は残しますが、紙面で欲しい、完成した作品が見たい、という方は是非ご期待ください!

②来年1月7日より個展開催

キャンバス作品、立体作品、ドローイング作品を中心に展示します!
メトロ南北線_東大前駅から徒歩5分「River coffee&gallarey」様にて2回目の展示です。
2025年1月7日(火)~12日(日) 10:00~18:00
サンドイッチが美味しくて居心地抜群のギャラリーです。
入場無料、ドリンク代など無し。お気軽にお越しください!

前回の様子。奥にスペースがあり、展示もじっくり見られます。
コーヒーが300円とお安いのに美味しかった!軽食もあります。


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