喉鼓の秋
この時期の新潟の空の主役といえば、雲。
冷たい雨や霙を傘で受け止め、薄暗い空を横目に、ハンガーにぶら下がる洗濯物の群にため息をこぼす日々。
気分転換にお気に入りの本を開いたり、イヤホンを耳に押し込んだり。
そしてもう一つの楽しみ、食事。
仕事帰りのきょうだいがスーパーで買ってきた、割引シール付の総菜やお寿司が戦利品のごとく、ダイニングテーブルに次から次へ並べられていく。
空腹の状態でスーパー行けばまぁそうなるよね、これならおかず一品いらなかったなと、苦笑い混じりの軽口がキッチンで飛び交う。
夕飯の準備でてんてこ舞い、連絡を取り合うということにも頭が回らない。
いつものことだ。
気の早い冬が秋を追い越して、寒さに身体を丸めるタイミングもいつもより少し早め。
空腹の頂を過ぎてふらふらする身体を、ずらりと並ぶ料理でなだめ、山のような食器を片付ける。
投げ出したくなることもあるけれど。
さぁ、今日の献立は何にしようか?
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