出汁巻き卵の化学について
こんばんは。静岡県沼津市で「そばの実 千の松」という蕎麦屋を営んでいる1484です。
今回はレシピ紹介をしていきます。当店で人気の蕎麦屋の出汁巻き卵を因数分解して美味しさの秘密と意外と難しい卵の攻略に役立ててもらえればなと思います。
①だし巻き卵と厚焼き卵の違い
②卵の化学
③出汁巻き卵の作り方(練習必要)
の3点を説明します。
①出汁巻き卵と厚焼き卵(卵焼き)の違いって?結論を最初にお伝えすると出汁が入っているかいないかでいいと思います。※ちなみにお弁当にだし巻き卵は向きません。出汁が離水してしまい味気ないです。
細かい部分の話をすると卵の混ぜ方(切り方)で、出汁巻きは白身を切るように左右に泡だてないように混ぜて、厚焼きはサクッと混ぜる程度でもいいです。
②卵の化学について。卵料理は意外と奥が深く、殻の中に卵黄と卵白という違う性質を持つ物が一緒にいる状態。大きく違うのが加熱時の凝固温度の差です。加熱するとタンパク質が凝固するわけです。
卵白:62℃でゼリー化、80℃で凝固。
卵黄:64℃で粘性が増していき、70℃で凝固。
似たような性質じゃないすか?何が難しいのよ!!と思ったそこの奥さん!!卵が美味しいからって卵かけご飯ばかり食べちゃダメよ。最後までみてちょうだい。#急なキャラ変
卵白は62〜80℃、卵黄は64〜70℃と凝固の幅が18℃と6℃と随分違うのが分かります。この性質を頭に入れておくだけで卵料理が上手くなります。※この性質を利用しているのが温泉卵です。63〜65℃のお湯で卵を約24分間茹でれば、白身はゼリー状で黄身は半熟状態というわけです。
美味しそうなオムライスもこの凝固温度をよーく見ていて、固まりそうになったらフライパンを振って温度を下げて卵の状態を半熟に仕上げてますよねー。ここら辺は作りながらの感覚勝負ですかね、でも観察を続ければ必ず分かります。
③最後に出し巻き卵の作り方です。実はここが最難関・・・。まずはレシピ。
材料:卵(Lサイズ)3個、出汁(90cc、1個につき30cc)、薄口醤油少々。※出汁の量で難易度と美味しさが決まります。必ず失敗するので慣れないうちは半分の1個につき15ccでも良いです。
まずは、卵を大きめなボウルに割って左右に激しく動かして卵白を切るようにしましょう。②で伝えましたが性質が違うのでよく切らないと白身が先に凝固して白い線が出ます。(味にはなんら変わりはないですが、見た目的な)※口どけをよくしたいなら濾してください。僕はしません!!
よく混ぜた卵に出汁と薄口醤油を入れます。(薄口の理由は卵の色味を邪魔しないからです)ここはよーく混ざるようにさっくりと。
さあ、下準備ができたところでフライパンの準備。巻き鍋の出番です。(ちなみに、関西風は長方形で関東風は正方形です。関西風が一般的ですかね)普通のフライパンだと上手に巻けないので用意するのがおすすめ。意外と卵焼き以外にも汎用性が高いので重宝しますよ。
巻き鍋に油を引き加熱しておきます。煙が出るぐらいだと加熱しすぎてて100%失敗します。心を最初から折らないでください。加熱具合は手をかざして「あー熱いな」ぐらいです。#急に数字を用いない
巻き鍋に全面薄く広がる程度溶いた卵を流してください。この時にいきなりジュンワーーーー!!!!!!と一気に細かい泡が全面に出ると失敗です。入れて、ジュワーん!ぐらいで大きめの泡がポコ、ポコとゆっくりと出るぐらいが適切な温度です。#!マークの数でお察しください
卵がポコポコ泡だった物を潰して、奥から手前に卵を返していきます。菜箸で難しければ、フライ返しでやると失敗ないです。ベースの芯の部分がこれで完了です。
油を薄く引き、芯を奥側に送り最初の工程を繰り返します。ここからが最難関の卵を巻いていく作業です。卵を引いて、ポコポコと泡立つのが巻いていくサインです。巻き鍋をくるっと振って返していきます。#言語化の稚拙さよ!!
割と箸で卵を持ち上げて、卵液を流すのが主流なのですがやらないほうがふわふわになると思います。
これは見てもらうのが一番早いですね。僕が最初に勉強していた動画が・・・なくなっている!近いものを以下に!
最後に、何回も練習して卵と巻き鍋と仲良くなることで上達していきますので練習あるのみです!特に巻き方は練習は必至。そして出汁を常備していることも条件であるのでハードル高いカモですね。(笑)そういう意味ではお店で食べるのが一番カモですね。
ふわっふわで出汁の香りがホワーンな出し巻き卵をご家庭で是非お試しくださーい!