おニャン子クラブの歌詞の考察〜早すぎる世代〜
はじめまして。うろんといいます。私は昭和・平成・令和と時代を問わずアイドルが好きです。
アイドルに関してはかなり雑食な私なので、いろんなアイドルの歌詞や楽曲について自分なりの考察を書いていきたいと思います。
また、比較としていろいろなアイドルを引き合いに出しますが、基本的にはそれぞれのいいところを語りたいと思っているので、優劣をつけて書くつもりはありません。
世代によって好きなアイドルは異なりますが、特に80年代のアイドルでいえば、おニャン子クラブが一番好きです!!
彼女らの魅力は言わずもがな「普通にいそうな素人の女の子達」「部活動のような楽しい雰囲気」だと思います。
松田聖子や中森明菜のようなデビュー当時から可愛くて歌もうまくてオーラもある「完成されたアイドル」ももちろん素敵ですが、
おニャン子クラブのちょっと歌がへたっぴでも「ふふふっ」って愛想でごまかしながら歌う素人さやその未完成さが大きな魅力であり、見る人を笑顔にするのだと思います。
『早すぎる世代』で高井麻巳子がふりを間違えてしまったときも照れ笑いしている姿がとてもかわいらしく、それがむしろプラスに作用しています。
さて、今回はそんな麻巳ちゃんが見られる『早すぎる世代』の歌詞について考察していきたいと思います。
『早すぎる世代』は1985年7月5日に『セーラー服を脱がさないで』のB面として発売されました。
10代がほとんどを占めるおニャン子達にこれを歌わせるには少々過激ですが、表現の過激さでいえば『セーラー服』と比べると直接的ではないと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=M2Sy8Vet7SY
『早すぎる世代』は、「年頃になり、好奇心が勝って恋を楽しむ」若者のキラキラした青春を描いています。主人公は大人たちに「若者たちにはまだ早い」と言われても、全く気にせずチューとかしてますね。
イントロも爽やかで、夏に砂浜で潮風が吹いているようなイメージ。主人公たちは好奇心旺盛で、大人の小言を全く受け止めず、「はいはい、また言ってる」みたいに受け流しているような印象をうけます。
歌詞もなかなかですが、サビの振り付けのまさぐるような仕草はかなりエロさを狙っている感じがします。ただそれを打ち消すような明るさと緩さがあるため、下品さがなく、可愛らしい仕上がりになってるんだと思います。
こういう全く影のない底抜けな明るさとときにわがままで無邪気なおニャン子の歌詞が私は好きです。
『早すぎる』では、海でイチャイチャしてる雰囲気からおニャン子の「陽キャ感」はかなりにじみ出てますよね。今だったら全く陰のない、そういう明るすぎるアイドルや歌詞ってあんまりうけなかったかも、と私は思うのです。
48グループや坂道グループアイドルというのはよくドキュメンタリーで映画化されます。それは普通の女の子だった彼女たちがスターになっていくまでのシンデレラストーリーに需要があるからです。
アイドル達の努力や葛藤や涙にファンは心打たれ、さらにドル活(アイドルヲタク活動)をしていこうと奮起するわけです。
一方おニャン子クラブはほぼ素人の女の子達がいきなりデビューしちゃった☆みたいな勢いとノリですよね。
ですから、闇とか陰での努力とか、そういうものがあまり見えないですよね。もちろん彼女たちだって辛い思いをしたり、沢山努力したりしたと思うんですが、おニャン子の場合、それは見えなくていいんです。コンセプトはあくまで部活動ですから。
1985年当時は身近に感じられるアイドルというのは画期的で、その着眼点というのはやはり凄いものですし、ヒットの理由の一つですよね。
しかし今はTwitterやインスタ、YouTubeでいくらでも芸能人を身近に感じられる時代です。
だから今、大きな力が動いてすぐデビューできて、コンセプトが同じような(身近に感じられるような)アイドルグループがいても、きっと埋もれてしまうんじゃないかな(多分いるけど埋もれてる)と私はおもうのです。
あと、おニャン子が着用しているセーラーズのビビットなパーカーがとてもかわいらしいですね。初期のおニャン子のトレードマークになっただけあって彼女たちの若々しい元気なイメージとぴったりです。セーラーズは「夕焼けニャンニャン」で起用される前にすでに売り上げが伸びていたブランドだった為、人数分の衣装を用意するのに苦労し、短パンは男性用のトランクスだったとか。でもスレンダーな彼女たちだからこそ可愛く履きこなせたんでしょうね。
『早すぎる世代』と似た歌詞でいうと、現在のアイドルでいえば乃木坂46の『制服のマネキン』が挙げられると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=_xh3E0t4x5I
『制服のマネキン』は乃木坂の中で、1、2を争うほど好きな楽曲です。
大人に「恋愛をするな」と言われている点で、『早すぎる世代』と背景は似てるんですよね。
でも『早すぎる』と比べて、『制服』では主人公の男の子が、「若者は恋愛するべきではない」という大人や世間の意見と、「自由に恋愛したい」という自分の意思に挟まれているジレンマに悩みながらも、勇気を出して女の子と恋愛しようとする姿が描かれています。
『早すぎる』とは違い、まず付き合う段階にいってないという時点で歌詞を対比するのもどうかと思いますが、この曲は昨今の草食系の若者による「陰キャ感」が否めず、背景が同じでも『早すぎる』とは真逆で面白いなと感じたので、載せてみました。
乃木坂46は大人しめで上品なフレンチポップスがコンセプトであり、ウェットでダークな楽曲というのは珍しいのですが、この曲は若者の心理をよく描いていると思います。
上記2曲はどちらもご存じ秋元康作詞です。若者の恋愛を描くにも秋元先生はここまで視点を変えられるんですね。何十年経ってもその時代の若者目線で歌詞が書けるのはすごいと思います。
『早すぎる世代』は『セーラー服を脱がさないで』の陰に隠れがちですが、初期のおニャン子をあらわしている隠れた名曲です。