圧倒


僕は、メディアをやっているから、今年の一年を予想してほしいみたいな、切り口で、講演のオファーをいただく。

それはそれでありがたい話だが、そのあと、懇親会にも呼ばれて、僕は、zoomの画面を呆然と眺めていた。こんな言葉が聞こえてきたからだ。

「この2年間は最高益」
「うちは、あと5年で50億円」

勝ち組と言われる人たちの中で、講演している僕はきっと負け組だ。

確かに、ここの人たちよりは情報を知ってはいるけど、教える側で良いのだろうか。俺、ここにいていいのか?と。

会社を立ち上げたけど、創業2年、必死にやってきて、まだお世辞にも安定してるとは言えない。

ふと、以前、この会の人から、僕が「ここにいて良いのか、と思う」と不安を吐露すると、「いや、寧ろゼロから、事業を立ち上げている、あなたは凄いですよ、」と言われていたので、救われた感はあったのだが、、、

この懇親会での会話が、地方の実態に言及すると、「職人のもとで働く人は、本当に低賃金で」という話に至り、だから、「そんな事やってたら、結婚できないよ、というんだよ」と締めたのである。

zoomだから見事にその発言がクローズアップされる。

「僕もまた、不安定だから、やっぱり結婚できていない」。それを思うと、だめなやつだな、俺。そう思うわけである。

だめだよと言われるその大人のその姿が僕の姿と重なっているようで、やっぱり僕の生き方は、良かったのだろうかと考えて、言葉が出ないというわけだ。

そして、そおっと、「退出」ボタンを押すと、はぁとため息をついたのだった。

やっぱり稼がないとダメだ。

好きな事を仕事にしてて、会社をやれてるくらいじゃ少しも成功じゃない。

もっと効率よく、仕事の仕組みを考えて、僕が疲弊する事なく、ちゃんとお金を生み出す仕組みを考えなきゃダメだという思いを新たにしたのだった。

続く。

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