富士登頂記 その3

暗闇の中、メンバーちゃん達と集合し、御来光を拝むための山頂を目指す。
必需品のヘッドライト自分の足元しか照らさない。心許なし。
眠気、疲れ、頭痛、寒さ、暑さ、そんなもの等を恨みつつ、噛み締めつつ、一歩一歩に集中する。油断すると転倒、滑落もありうるよ ♪ 
上を見ても下を見ても、ジグザグと連なるヘッドライトの列。僕は思った。僕は今、何をしているんだろう・・・?こんな真夜中に、真っ暗な中をただひたすらに上を目指して、無言のまま歩き続ける人々。苦行かな・・・?
会話を楽しむ余裕なんて誰にも無い。前を行くガイドさんについて行くだけだ。
途中、休憩した場所で空見上げタイムがあって、うまはじ(生まれて初めて)で流れ星みたんだけどさ、願い事する暇なんかないよね。

最後の30分は休憩もできないほど道も狭く、人も多い。渋滞やばい~。
ゆっくりと確実に近づく山頂。そしてついに辿り着いた山頂。そこは今までの狭い道が、まるで嘘であったかのように開けていて、めっちゃスペースあるやんっ!山頂だからもっと鋭利かと思ったわ状態。
とうとう日本で一番高い場所に来たったー。登れた喜びよりも、しばらく歩かなくていいという安堵の方が大きかったかもしれない。それほどにHPを消費していた。

ツアーの皆様と共に登頂成功を祝して乾杯。豚汁で。
朝日が昇るまでの時間をそれぞれに過ごす。御来光ちゃんのお出ましの予定時刻は4:45。メンバーらと絶好のポイントに陣取り、グレートサンライズちゃんを待つ。
山から見下ろす下界には雲海が広がり、地平線の方から徐々に明るみが増して行く。果たして天空人となった我々は上機嫌である。
橙と紺のグラデーションの中、濃い橙と赤の中間色ちゃんは、発光しながらその丸い姿を現してゆく。感慨に耽る。耽ったような顔をする。やはりこの様なシチュエイションでは耽り顔が相応しいであろう。
そりゃあ、朝日自体は何度も見たことはあるが、わざわざ御来光と仰々しく名付けられたそれは、確かに縁起の良さそうな雰囲気を醸し出しまくっている。きっと周りの風景や、荘厳な雲海や、非日常的空間や、時間をかけて登ったという達成感や、体にまとわりつく疲労や、etc...が、それをさらに助長させるのだろう。来て良かった。来れて良かった。天気がよくて良かった。ありがたや~

さて、下山する頃にはかなり明るくなっていて、気温もぐんぐん、ぐんーぐんぐーんぐん上がり出す。
下山道は登山道とは別ルートなのだが、これがかなり退屈だ。
山の裏側感満載だし、とにかく効率的に短時間で降りることだけに作られた(そりゃそうだ)道なので、飽きる。。軽石のような赤い火山石で敷き詰められたジグザグ道をひたすらに、これでもかと何ターンも繰り返しながら高度を下げて行く。慣れてくるともう足の力を抜いて、滑りながら降りるなんて技も繰り出しちゃったりして。
七合目の休憩所辺りまで降りると、頭痛もだいぶ治まってきた。
疲労と足の痛みに悶えるメンバーを励ましながら、無事に五合目(スタート地点)に到着。お疲れ様でした♬


富士山登頂しようだなんて、自発的に思ったことはなかった。
友人の発案に乗っかったまでである。でもこれは本当に良い体験だった。体と心に自信がつきまくりだ。しかし今回、一番きつかったのが、寝られぬ山小屋だっとは盲点かつ皮肉だった。。とにかく全員無事に登頂&下山できて、大変よくできました☆


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