てと

とりあえず日々のこと、記憶のこと、感じたことなどなどを綴りつつ。つつつ。

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最近の記事

ベッドタイムアイズ 山田詠美

時として名を持たない関係がある。少なくとも僕はそう思う。 そもそも関係に名前なんて必要なのだろうか。 恋人、愛人、友人、親友、セックスフレンド。 名のついた関係の中で、両者はその役目を演じてはいないか。 人が本当に出会い、体で会話する。 心なんて後からどうにでもなるのではないだろうか。 人間だってセックス動物の一種。 打算や見返りや、約束のない恋愛。 そういったものは現代社会では非難されやすい。 しかしそれこそが魂の交わりなのではないか。 小説という体を取

    • 泡沫情緒

      あれの言いなりになってはいけない あれの思うツボにハマってはならない あれは強力なのだ あれは突然やってきては全てを包み込む 優しさのマントを着て 思わず身を任せそうになってしまう ぐっとこらえろ 同じ轍は踏まない 対処法は心得ている リズムを刻め みんな同じなんだから 時に心を忘れ、実在に任せよ そのうちあれは過ぎていく そんなものは初めから無かったかのように お前の見る幻影だと言わんばかりに 誰もひとつにはなれない という意味においては、み

      • 共用部のマントラ

        自分の住むマンションの玄関からエレベーターまでの間に3部屋分の玄関がある。 その前に伸びる共用の通路があるのだが、そこに大きめの落とし物があった。 見ると手帳サイズほどの白い紙にペンで何か書いてあるようだ。 その時は急いでいたので、ちらと見ただけでエレベーターへと乗り込んだ。 用事を済ませマンションへと戻り、エレベーターから通路へ出ると、 やはり紙は落ちたままである。 顔を近づけてみる。 そこには、「黄色い龍」「禊」「40回水を浴びる」「間違えたら最初から やり直

        • カラマーゾフの兄弟/ドストエフスキー

          人の心における善悪の問題、生と死の問題、宗教と科学の問題、一族の血の問題、家族愛、友愛、師弟愛、男女間の愛と憎悪、出自や運命を呪う気持ち、人が人を裁くという問題。 とにかくありとあらゆる普遍的な問題をふんだんに織り込み、さらに各パートそれぞれがひとつの作品といって良いほどの内容の濃いストーリー群。 それらを紡ぎ合わせ、壮大な一本の物語へと形作る手腕。 魅力的な登場人物を描く上での緻密な人間描写。 心の移りゆく様を描き切る忍耐。圧倒された。 幼少の頃、親に自分の罪を認め、全て

        ベッドタイムアイズ 山田詠美

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        • 読書感想記
          4本
        • 日常感記
          2本
        • 散文
          2本
        • 挿話
          1本
        • 旅記
          3本

        記事

          創作A

          僕の記憶にあるその人は、いつも突然現れた。 何日か前に会うことを知らされ、当日1日を過ごすとその人は去って行く。 最初の記憶は思い出せないぐらい古いんだと思う。 「物心つく」なんて言葉があるけど、そんな認識もなく記憶というのはフェイドインしてくるものだ。そういうわけではっきりとした記憶のはじまりはない。 僕には、その人が本当は誰なのか分かっている。でも確実なことではない。 事実と言うのは仮説とは違う。僕が持っているのは確証ではなく、仮説に過ぎない。でも僕の中ではっきりと、事実

          富士登頂記 その3

          暗闇の中、メンバーちゃん達と集合し、御来光を拝むための山頂を目指す。 必需品のヘッドライト自分の足元しか照らさない。心許なし。 眠気、疲れ、頭痛、寒さ、暑さ、そんなもの等を恨みつつ、噛み締めつつ、一歩一歩に集中する。油断すると転倒、滑落もありうるよ ♪  上を見ても下を見ても、ジグザグと連なるヘッドライトの列。僕は思った。僕は今、何をしているんだろう・・・?こんな真夜中に、真っ暗な中をただひたすらに上を目指して、無言のまま歩き続ける人々。苦行かな・・・? 会話を楽しむ余裕なん

          富士登頂記 その3

          富士登頂記 その2

          六合目から七合目になると、背の高い植物もだいぶ減り、日光にさらされてくる。この日は運良く、雲が空の八割ほどを覆っており、紫外線からは守られた。 道は傾斜が鋭くなり、そのため、ジグザグを繰り返す。基本的には砂利の様な火山石の道だが、徐々に岩場なども増えてきて、一歩一歩慎重になる。 そして体力の減り方も増して行く。七 号目あたりでは霧も出て来、雲の中にいるような場面もあった。 休憩しながら街を見下ろすと、緑が広がり、山中湖もきれいに見える。 ここから八合目までは長く険しい。標高

          富士登頂記 その2

          富士登頂記 その1

          富士山。フジヤマ。FUJIYAMA. いつかは登れたらいいな~っていうぐらいの気持ちしかなかった。 時間があれば、、気持ちに余裕があれば、、その気になれば。。。 登山好きの友達から誘われたのは2019年が始まったばかりの頃。 その友達の実現したいことに便乗したまでだ。 メンバーは僕を含めた4人。僕以外の3人は女性。(ハーレムかよ) ただの友達なので何もない。本当に。マジで。。 そうと決まれば体力作り。普段からジムには通うものの、登山なんて子供の時以来やってない。夏までに

          富士登頂記 その1

          睡眠導入音

          雨の音 聞きながら 眠る夜 なぜか落ち着く 子供の記憶 降りすぎないでね 逆に眠れなくなるから 今ぐらいで ちょうどいいよ

          睡眠導入音

          ウォシュレット考察記

          おこである。いいかげん、海外でのウォシュレット普及率をガン上げして欲しい。 僕の肛門はあまりにも繊細だということを知ってほしい。 まず、便通が良すぎるのだ。便通が良いというか、腸が弱すぎるというか。。 そのせいで、日に何度も💩を出すことになる。アベレージで3回、多い日には5回ほど出すことになる。 そうするとその数だけデリケートゾーンをペーパーでこすり上げることになるのだ。こすりの回を重ねるごとに痛み腫れ出す肛門。もちろん、この日本では、たいそうウォシュレットが普及しており

          ウォシュレット考察記

          The Catcher in the Rye

          本当の大人なんてどこに居るんだろう。本当の知恵なんてあるんだろうか。 本当に大切なものはきっと、子供時代にあって、守るべきものは子供たちの中にある。 誰でもが子供であったはずなのに、いつしかずるいインチキを身に纏い、それらしさを演じることで、大人たちの作る世界に対する疑問を持つことを諦めてしまう。 ホールデンは言う。 「誰かその崖から落ちそうになる子どもがいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。つまりさ、よく前を見ないで崖の方に走っていく子どもなんかがいたら、どっから

          The Catcher in the Rye

          ガリバー旅行記/ジョナサン・スウィフト

          日々、食べ、眠り、思索し、性行為を行う。僕らの目から見る ”普段” は、あまりにも頼りなく、どこにも根を張らない。当たり前だとされる現実は全くもって当たり前なんかではなく、そんな概念すらもどこから持ってきたのか疑わしい。 人々が海の外を知らなかった時代。外に思いを馳せる島国の人。産業革命、技術の飛躍的進歩により冒険に出ることが可能になった。そこには今までに見たことのない世界が広がる。視点が変わればすべての常識は意味を持たなくなる。 人間は欲深く傲慢な生き物だ。人間が作った

          ガリバー旅行記/ジョナサン・スウィフト