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_kei_
【宝石箱の中身】眼鏡と本
私には、
眼鏡が似合う人が、心のこもった、その人だけの言葉というものを少し遠慮気味に発する瞬間に、恋に落ちるという、危ない傾向があるとわかった。
いや、案外 そういう人は、そんなに多くいないので、大丈夫。
そして、惚れ込んだら、他の人は見えなくなるので、うっかり2人を同時に好きになることは、ない。
言葉には、大勢がファッションで、慣習で使っているような、ちょっと騒々しいものがある。でも、恋したくなる時の相手の言葉は、その人自身が言葉そのものとして、そこに在るような、そんな感覚を抱かせる。
本を読む時の手や指も好きだ。本を持っている時の関節の曲がり具合と言おうか、本に沿ってある手の形の、その安定。
そういうものを日常の中で当たり前のように見られることは、至福。
私は、静けさが、好きなんだと知った。
静かな声、眼鏡の奥の、柔らかい眼差し。慎み深さ。
そういうものを愛している。