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ケーキを大事に抱えながら

ケーキを買って、いつもより車をそっと運転していたら、生まれて間もない赤ちゃんを初めて車に乗せた時の夫の優しい運転を思い出した。

赤ちゃんを抱っこして、アパートの階段を降りるときに 緊張して 慎重に足を運んだことも思い出した。

ずいぶん前のことで、最近では思い出すきっかけも、暇も、あんまりない。
ケーキはなくてもいいわって、言われてたけど、買ってよかったと思った。
どんなに大きくなっても、誕生日を祝うことは、特に 我が子の誕生日を祝うことは、子どものことはもちろん、親になってからの自分の歩みも 少し素直に振り返ることができるらしい。

おめでとうって 言った その日が また これからの私の気持ちを柔らかく包んでくれる。腕に残っている 柔らかい重み と いっしょに。

お祝いをすること
人と人とのつながりを確認すること
私は この人たちと 時間をともにしているんだという確認

ちょっとだけ、 ちょっと寂しいことを言う
ずいぶん早い時期に 家族に誕生日を祝ってもらえなくなった寂しさの意味が 今は分かる ただの日常、として その日が過ぎていくこと
(今は日常として過ぎる方がいいとさえ思うこともあるけど)


あのころの自分よりも 大きくなった子どもは すごく嬉しそうに ケーキを頬張って(いらないって言ったくせに!)いつもより、おしゃべりになる。
友だちからもらった誕生日プレゼントをひとつひとつ説明してくれる。
こういう時、大きくなってるのに、小さい頃と同じようなかわいさを感じる。
自分の子どもへの想いは、何にもたとえようのない、あたたかい涙と つながるもの。
お祝いの楽しさを、大切さを 教えてくれてありがとう。

子どもや、家族や、友だち、大好きな人の生まれた日。
いっしょに住む小さい生き物が うちにやってきた日。
あるいは、推しの誕生日❣️

そういう日に おめでとう、ありがとう、って 言って また 明日からの日々を結んでいこう。

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