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試験のための「学び方」
ここ数年、教員採用試験の志願者の減少が全国的な問題になっている。しかし、自治体による差はあるものの、中学・高校の社会、英語、保健体育などの教科については、今でも競争率の高いところが多いようだ。
教員採用試験の一次試験は、
・教職に関する専門教養
・教科に関する専門教養
を問う筆記試験が中心である。
教員としての熱意や授業力などについては、二次試験の面接や模擬授業等でアピールをすることができる。しかし、まずは一次試験を突破しないとその機会が得られない仕組みになっているのだ。
一次試験に向けた対策として、予備校や通信教育の「教員採用試験対策講座」を受講するという方法もある。だが、現役の学生の場合には学業やアルバイトなどとの両立が難しい。そのため、各自で時間を見つけて勉強をする必要があるのだ。一般的には、次のような学習スタイルだろう。
① 受験する自治体の「過去問」を解いてみる。
② 間違えたところや、自信がないところを「参考書」で確認する。
③ これを繰り返す。
ひと昔前だと、こういう「過去問」型の勉強方法については、こちらが教えなくても学生自身が身につけていたように思う。
・「参考書」は何冊も使うのではなく、1〜2冊に絞る。
・試験の直前には、間違えたところや自信がないところを重点的に復習する。
といったことも、本人たちが自ら実践をしていた。
・・・しかし近年は、こういうスタイルの勉強方法が「一般的」ではなくなってきているようだ。それには、大学入試制度の変化が影響しているのではないかと思う。
学生たちと話をしていると、一般入試で大学に合格した学生には、「過去問」型の勉強方法が身についていると感じる。一方、学校推薦や総合選抜型で合格した学生には、こういう「学び方」と無縁だった者が少なくないのだ。
これからの世の中では、「正解」が簡単には見つからないので「最適解」や「納得解」を探していくことが大切になる、と言われて久しい。
そうした「最適解」や「納得解」を求められるようにするために、「探究的な学び」や「対話的な学び」が重視されてきているのだ。
けれども、教員採用試験を含めた公務員試験や各種資格試験などの「正解」がある問題に関していえば、「過去問」型の勉強方法は依然として合理的な「学び方」なのである。
学生たちが試験の内容や方法に合わせるべきなのか。
それとも、試験のほうを時代に合わせるべきなのか。
・・・悩ましい問題である。