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「デパ地下」から「デパナナ」へ

 デパートの食品売り場といえば、「デパ地下」という略語があるように、地下にあることが一般的だ。大手のデパートは、乗降者が多い駅の近くにあることが多い。利用者の動線を考えれば、上の階よりも地階に食品売り場を置くほうが合理的だといえる。

 ところが、2025年1月にリニューアルオープンする予定の西武池袋本店では、地下1階にあった食品売り場を改装期間中に7階へ移した。その名も「デパナナ」として営業を始めたところ、売り上げの目標を達成することができているというのだ。

「デパナナ」は、これまでの食品売り場と比べて面積が3分の1弱になったことから、ブランドの数を従来の約200から約70に厳選した。さらに、各店舗の売り場面積も以前より小さくなったため、売り上げの目標も従来の7割に下げている。それでも、地上7階に移ったからといって、売り上げが極端に落ちているわけではないということはできる。

 しかも、以前より売り上げが伸びた「いなり寿司の専門店」などもあるそうだ。これは、地階にあったときよりもブランド数が厳選されたため、店の個性が認知されやすくなったからだろうと分析されている。

 もちろん、いいことばかりではない。このデパートでは、総菜などを調理する厨房や商品のストックを置くスペースが地下2・3階にある。そのため、これらのバックヤードと売り場を行き来するのに余計な時間がかかってしまうという短所があるそうだ。

 けれども、
「デパートの食品売り場といえば『地下』」
 という固定観念を打ち破ったことは画期的だといえるだろう。


 先日、校内研究の改革に取り組んでいるH小学校のことを紹介した。

 小学校の校内研究といえば、
「学校全体で特定の教科等を決め、全員がその研究に取り組む」
 というスタイルが一般的である。

 しかしH小学校では、全員が同じ教科等の研究に取り組むのではなく、教職員一人ひとりが(ときには複数で)研究テーマを設定し、それぞれが探究活動に取り組んでいるのだ。

 言ってみれば、
「デパートの食品売り場といえば『地下』」
 という固定観念を打ち破ったことと似ているだろう。

 ・・・校内研究にかぎらず、こういう「デパ地下」のような固定観念に縛られていることは、今の学校のなかにたくさんあるに違いない。

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