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通過儀礼

 今年は1月13日(月)が「成人の日」である。例年、この日にテレビで流れる成人式のニュースは、

・千葉県浦安市では、東京ディズニーランド(もしくは、ディズニーシー)で成人式が行われ、ミッキーたちが新成人を祝福している。
・一方、全国最多の新成人が参加する横浜市の成人式は、横浜アリーナで3交代制によって行われ・・・

 という内容になることが多い。

 そして、横浜アリーナの映像では毎年のように、「金髪・リーゼント・派手な羽織袴」の新成人が来賓の挨拶中に壇上へ上ろうとし、警備のスタッフに取り押さえられるという場面がある。

 テレビ局の撮影クルーの人たちは、こういう「目立ちたい系」の若者が暴れはじめると、
「待ってました!」
「今年もいい『画(え)』を撮らせてくれてありがとう!」
 と、心の中では思っているに違いない。

 ・・・私は横浜市の教育委員会に勤めていたころ、何度か成人式の警備係を担当したことがある。ある年の仕事は、新横浜駅から会場の横浜アリーナへ向かう新成人たちを誘導することだったし、別の年には会場の入口で「検問」を行ったりもした。

 そうしたなかで、喧嘩の仲裁をしたり、会場内に一升瓶を持ち込もうとする新成人と押し問答になったりしたこともある。

 しかし、横浜市民の名誉のために言っておくと、こういう「ヤンチャ」な新成人はほんの一握りで、大多数は真面目で礼儀正しい若者たちであった。


 ・・・ただし、横浜アリーナで暴れた若者たちが、その後にどうなっているのかというと、成人式の日をピークにして、それ以降は意外と「まっとうな」生き方をしている者も多い(といっても、n=3ぐらいのサンプルしかないのだが)。

 おそらく、彼らにとって「成人式で目立つ」ということは、「甲子園の土を踏む」や「新春の箱根路を走る」と同じような価値をもつのだろう。

 その達成感を心の支えにしながら、真面目に汗を流して仕事に取り組み、結婚して家庭をもち、「地に足をつけた」生き方をしているのだ。

 そして、週末には親子で「焼肉食べ放題」に行って楽しく過ごす。そのときの服装は、親子お揃いで「黒地にゴールドの線が3本入ったアディダスのジャージ」であることが多い(無論、n=3ぐらいのサンプルでの話である)。

 ・・・彼らには、法に触れるようなことはせずに、真っ当な人生を歩んでもらいたいものだ。これだけ少子高齢化が進んでいる今、彼らは「宝物」なのだから。

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