見出し画像

「1本でしじみ70個分のちから」

 この季節になると、街中に設置されている自動販売機の中に、温かいお茶やコーヒーなどに混じって、
【1本でしじみ70個分のちから】
 という缶入りの味噌汁をよく見かける。

 ・・・実によく考えられたネーミングだと思う。

 まず、50や100といったキリのいい数ではなく、70という数字には妙な説得力がある。いかにも、
「科学的なエビデンスに基づいた数字」
 という印象を受けるのだ。

(製造元の永谷園によると、この缶1本の中には、実際にしじみ70個分のオルニチンという物質が含まれているそうだ。ちなみに、このオルニチンには睡眠の質や目覚めを改善する働きがある。)

 その一方で、
「しじみは体にいいらしい」
 というイメージは、日本人のなかに定着している。

 また、
「寒さが厳しい夜や、二日酔いの朝に飲んだしじみの味噌汁は美味かった」
 というエピソードも、おそらく多くの人が持っていることだろう。

 エビデンス、イメージ、エピソードを融合させた、実に見事なネーミングだと言えよう。

 今後、何かのタイトルやネーミングなどを考える際の参考にしていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?