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細かいことが気になって

『相棒』の主人公・杉下右京の口癖

「細かいことが気になってしまうのが、僕の悪い癖」
 ・・・ドラマ『相棒』の主人公・杉下右京の口癖である。

 警視庁の窓際部署「特命係」に配属されているものの、天才的な頭脳の持ち主である杉下右京。彼は、犯行現場に残された僅かな痕跡や、関係者との会話の中で感じた微かな違和感など、他の刑事ならば気にも留めないような「細かいこと」をつなぎ合わせて独自の推理を展開し、最後には事件の真相にたどり着いてしまう。

 たとえ刑事ではなくても、彼のような洞察力があれば仕事や生活に役立つことだろう。そして、その一歩目は右京氏のように「細かいことを気にする」ことなのだろうと、勝手に思っている次第である。

 そんなわけで、先日、JR関内駅の近くで気になった「細かいこと」を2つ書き記しておきたい。

2つのポスト

 1つ目は、関内駅北口に並んでいる「2つのポスト」である。

 ふつうの郵便ポストといえば、街中にポツンと立っているものだが、ここではなぜか2つ並んでいる。正確なことはわからないが、少なくとも10年ほど前からこの状態だったという気がする。
 ただし、以前は2つのポストの大きさや形状が別々だったと記憶しているし、どちらももっと古ぼけていたと思う。近年、この辺りが再整備された際に、どうやら新しいものと交換されたようだ。
 逆に言えば、再整備後も数がそのまま維持されたということは、2つ必要な理由があるのだろう。

 その理由はすぐにわかった。【関内 ポスト 2つ】と入力してグーグルで検索してみると、横浜のマニアックな情報を扱う「はまれぽ.com」というサイトの記事があっさりとヒットしたのだ。

 記事に登場する郵便局員の方の話によれば、

当初、ポストは1つでしたが、ある年末に年賀状の投函が多く郵便物が溢れてしまったことがあったので、それからポストを2つにしたと聞いています。それぞれの設置年月日は資料も残っていないので詳しくはわかりませんが、(中略)10年以上前であるようです。

 ということだ。
 この記事は2012年のものだから、2つのポストは今から20年以上も前から並んでいたことになる。
 ということで、「1つでは溢れてしまうから2つ並べた」という至極当然の理由であった。いささか拍子抜けである。

200mではダメなの?

 2つ目は、ポストとは反対側の南口にある案内表示である。
 関内駅の近くにある横浜文化体育館の方向と距離を表す表示なのだが、その距離が「198m」と妙に細かい。別に「200m」でも支障はないと思うのだが、ここまで刻んで表示をするのには、何か深い理由があるのだろうか?

 ポストのときと同じように【横浜文化体育館 198m】と入力して検索すると、案の定というか、今回もあっさりと「はまれぽ.com」の調査結果がヒットした。

 ただし今回は、並んだ2つのポストのように明確な答えは示されていない。一応、

・もともとは「200m」という表示だったのだが、何らかの事情で設置場所を2mずらしたため、「198m」と改めたのではないか。

・「200m」よりも「198m」のほうが目立つと考えたのではないか。

・1988年8月8日に横浜文化体育館で行われた「藤波辰巳vs.アントニオ猪木」の伝説の一戦(IWGPヘビー級選手権)にちなんでいるのではないか。

 という3つの説が紹介されているが、どれも決め手には欠ける。特に、もしも3番目が事実だとするならば、プロレス・ファンの担当者による職権乱用であろう。

捲土重来

 というわけで今回の「細かいこと」は、いずれも「はまれぽ.com」で紹介済みという結果であった。私が気がつくようなことには、とっくに誰かが気づいているということなのだ。素直にそれを認め、捲土重来を期したい。

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