「海釣り」と「地引網」
「海釣り」が大好きな知人の話によると、珍しい魚や大物を釣るためには入念な準備が必要になるらしい。
まずは、狙いを定めた魚が棲息しやすい水温、潮流、深さなどを調べて、条件に合致した釣り場所を見つけなければならない。
また、そうした魚は特定の餌にしか興味を示さないことが多いので、それに合わせた餌やルアーを準備する必要もある。
さらに、早朝や夕方以降などの特定の時間帯に動きが活発になる魚もいるので、そうした習性に合わせて行動することも求められる。夜釣りが盛んなのもそのためだ。
このように、狙った魚を釣り上げるためには周到な準備が必要なのである。
一方、魚をとる方法に「地引網」がある。大きな網を海に投げ入れ、その網を陸上から多くの人々が一緒に引っ張って魚を捕まえるという方法である。
古くから日本各地で行われていた漁法の一つだが、近年は観光や地域のイベントとして行われることが多い。
大漁になるかどうかは運次第だが、特別な準備をしなくても魚をとることが体験できるため、家族連れなどに人気が高い。
・・・大分県教育委員会は今月2日、今年度に実施した教員採用試験の合格者が407人に留まり、予定していた496人を大幅に下回ったと明らかにした。
大分県は文部科学省からの要請を受け、今年度の試験日程を例年よりも約1カ月早めた。しかし、出願者数は前年度より250人以上も少ない1120人に留まったため、県教委は「見込んでいた効果はなかった」との見解を示している。
今後、一部の試験区分で初めての「秋選考試験」を実施するそうだ。また、文部科学省は全国の教育委員会に対して「さらなる試験日程の早期化」を求めているが、大分県教委はこれに応じない方針を明らかにしている。
「教員採用試験の日程早期化」の主たる目的は、民間企業の採用日程に合わせることにより、受験者の確保と合格者の採用辞退を防止することだ。しかし、少なくとも大分県ではその効果が認められなかったということになる。
文部科学省はこれを受けて、「教員採用試験の日程早期化の効果について今後検証を行う」としつつ、「試験日程の早期化は必要な取り組み」だと強調している。
もともと「教員採用試験の日程早期化」については、実施前からその効果に懐疑的な声が少なくなかった。ぜひとも、今回の「検証」はしっかりと行っていただきたいものだ。
・・・今のところ、「教員採用試験の日程早期化」を含めた「教員不足への対策」を【魚をとる方法】にたとえると、入念な準備をした「海釣り」というよりも、とりあえずやってみた「地引網」に近いとしか言いようがないのだから。