学校ホームページを活用した情報発信(上)
今から12年前、新任の校長として赴任した小学校では、ホームページが1年以上も更新されていない状態だった。
一応、校務分掌のなかには「学校ホームページ担当」という業務があり、3人の担当者が割り振られていた。しかし、誰に聞いても異口同音に、
「他の仕事が忙しくて、なかなかホームページにまで手が回りません」
という答えが返ってくるだけだった。
そこで、トップページに載せる「その日のニュース」に関しては、校長自らが担当することにした。
ただし、私も暇なわけではないので、
・更新の作業時間は「1日10分(以内)」にする
・そのため、「その日のニュース」については、「写真1枚」と「短いコメント」のみにする
というルールを自らに課した。
また、3名のホームページ担当者には、月1回の「学校だより」「行事予定」の更新作業について、輪番で責任をもって取り組んでもらうことにした。
学校ホームページの「その日のニュース」に載せる内容を選ぶ場合、遠足などの行事があるときや、学年や学級などで特色のある取組をしているときにはネタに困らないない。だが、そういう日ばかりではないのだ。
そんなときに頼りになるのは、「植物」「給食」「掲示物」だった。そして、これが意外と反響を呼ぶのである。
たとえば、校門の近くにタケノコが生えてきたことがあったので、その写真とコメントを載せてみた。
するとその翌日、近所にある保育園の園児たちが30名ほど、お散歩の途中に学校へ立ち寄り、タケノコを見学していたのである。
どうやら、その保育園には本校の児童の弟や妹が何人か通っているらしく、保護者経由で保育士の方たちに情報が伝わり、
「じゃあ、お散歩のコースを変更して、小学校にタケノコを見に行こう」
ということになったらしい。
園児たちがタケノコに「タケちゃん」「ニョッキくん」などと名前をつけていたことや、2週間後にまた来たときに「タケちゃん」や「ニョッキくん」の背丈がすごく伸びていることに目を丸くしていたことなど、今でも懐かしい思い出である。
「給食」に関しては、肉の「セレクト給食」のことが印象深い。「セレクト給食」とは、子どもたちが鶏肉料理か豚肉料理のどちらか好きなほうを選べるというものである。
当日、子どもたちは事前に希望していた一品を食べる。しかし、校長は「検食」として両方を食べることが必要なのである。
そのため、深く考えずに検食時の写真をホームページに載せたところ、地域の方から、
「最近の給食は、いつもこんなに豪華なんですか?」
という問い合わせがあったものだ。
時間がないときには、掲示物の写真を載せて、コメントは1〜2行だけということも何度かあった。それでも、この「本のリサイクル交換会」のときには、学校ホームページを見た地域の方たち数名から、交換会のために子ども向けの本を提供していただいた。
国際大学の豊福晋平先生は、
「学校ホームページにとって大切なことは、『ベタな日常』の発信を続けること」
だと述べている。
ちなみに「ベタな日常」とは、特別な取組ではなく「日常の学校生活の様子」という意味だ。
※『思いを届ける学校ホームページ』(株)プラネクサス発行より
まさに至言だと思う。(つづく)