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これが「流行語」なのか?

 昨日(11月5日)、2024年「新語・流行語大賞」の候補が発表された。

 野球の大谷翔平選手が達成したメジャーリーグ初の「50-50」(シーズン50本塁打、50盗塁)をはじめ、30の言葉がノミネートされている。

 ・・・昨年は、プロ野球・日本シリーズを制した阪神タイガースの岡田彰布監督(当時)による「アレ(A.R.E)」が大賞に選ばれている。

 ペナントレースの終盤、岡田監督が選手にプレッシャーをかけないようにと、あえて優勝という言葉を口にせずに「アレ」と表現したということについては、何度かニュースで耳にしたことがあった。

 しかし、これ(アレ)が2023年を代表する言葉なのかというと、いささか首を傾げたくなったものだ。

 けっして私一人の意見ではない。知人で熱狂的な阪神ファンであるA氏も同じ意見で、その優勝を喜びつつも、
「さすがに、『アレ』が大賞はない。ミエセス(※)のMVPぐらいない」
 と言っていた。

(※)ミエセスは、昨年度の阪神に在籍していた控えの外国人選手。実働1年で退団。


 野球関連の言葉が大賞をとるのは、この10年間で「アレ」が5回目だったそうだ。もしも「50-50」が今年の大賞に選ばれると、野球界からは実に10年間で4年連続6回目ということになる。

2015年「トリプルスリー」
2016年「神ってる」
2021年「リアル二刀流/ショータイム」
2022年「村神様」
2023年「アレ(A.R.E)」

 これらのなかで大多数の人が納得できそうなのは、2021年の「リアル二刀流/ショータイム」ぐらいではないかと思う。

 しかし、それでも2013年の「倍返し」などに比べると弱い。

 2016年の「神ってる」に至っては、
「流行ってる?」
 と聞き返したくなるほどだ。

 これだけ野球関連の言葉が優遇されるのには、やはり理由があるのだろう。審査員の中にプロ野球を題材にした作品で知られる漫画家のY氏がいることも、その一因なのかもしれない。


 かつての流行語は、そのほとんどがテレビから生まれた。しかし、日本人の生活様式の変化やスマホの普及などに伴い、発信源や情報源としてのテレビの地位は下落し続けている。

 そもそも、これだけ価値観が多様化している時代に、国民共通の「流行語大賞」を決めようとすること自体に無理があるようにも思われる。

 ・・・どうしても決めたいのであれば、審査員のY氏が大好きなプロ野球の沢村賞に倣って、「該当者(語)なし」という年があってもいいのではないだろうか。

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