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一貫性のある行動
このところ、兵庫県の斎藤元彦知事への批判が続いている。とりわけ、知事のパワハラや物品の授受を巡る疑惑を告発した県幹部の男性が、県議会の調査特別委員会(百条委)への証人出席を前に亡くなったことで、批判の声はさらに高まっているようだ。
そうしたなか、宮城県の村井嘉浩知事の発言が注目を集めている。斎藤氏は平成25年に総務省から宮城県へ出向し、村井知事のもとで市町村課や財政課の課長を務めていた経歴があるのだ。また、令和3年に斎藤氏が兵庫県知事選に出馬した際には、村井氏が自ら神戸市に出向いて応援をしている。
その村井知事は齋藤氏の疑惑に関して、
「非常にまじめな方でして、一生懸命に仕事をしてくれました。歯を食いしばって残業しながらでも仕事をしてくれたし、市町村課の課長の時も財政課の課長の時も職員の評判は非常に良い方でした。そういう意味では私は非常に高く評価をしている人物です。今回なぜこのようなことが起こったのか、正直驚いているところです」
と語っているそうだ。
・・・現職の県知事がこのタイミングで渦中の人物を擁護するのだから、相当なリスクを覚悟しているはずだ。おそらく、この発言の内容は真実なのだろう。
だとすれば、
「齋藤氏は知事になってから人が変わってしまった」
「何が原因で豹変したのか」
と考える人がいるかもしれない。
しかし、そういうわけではないと思う。
若いうちから、
「下積みのときには歯を食いしばって働き、
トップに立ったらいい思いをする」
という人生設計をしていたのだと考えれば、別に豹変をしたわけではなく、むしろ本人にとっては「一貫性のある行動」なのだろう。
齋藤氏がそういう人生設計をしていたのかどうかは定かではない。しかしながら、こういう「若いうちは我慢をして、あとでその何倍も得をしよう」という考え方をする人間は、どこの組織にもいるものなのである。