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分断か、それとも・・・

 2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件では、ハイジャックされた4機の旅客機がニューヨークの世界貿易センタービルや首都ワシントン郊外の国防総省などに激突し、およそ3000人が犠牲となった。

 ・・・あのテロからの23年間、世界は確実に分断の道を歩んできたように感じる。

地政学的対立

 米中関係の緊張やロシア・ウクライナ戦争など、一部の大国間の対立が激化している。これによって、経済的なブロック化や軍事的な対立、駆け引きが進行しているという一面もある。

経済的不平等

 世界的な経済格差の拡大により、富裕層と貧困層との分断が進んでいる。特に、新興国や発展途上国と先進国の間での不平等が顕著だが、同じ国の中でも貧富の差は大きくなる一方である。

ナショナリズムとポピュリズムの台頭

 2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選したことに代表されるように、多くの国でナショナリズムやポピュリズムを掲げる勢力が台頭し、グローバルな協力よりも自国優先の政策を取る国が増えている。これにより、多国間の協力が困難になっているケースが目立つ。

情報の分断

 ソーシャルメディアやオンデマンド型コンテンツの普及により、閉じられた情報圏の中で人々が生活するようになってきている。これによって、人々が共通の事実や基準を持つことが困難になり、社会的な分断を助長しているといえる。

気候変動と移民問題

 地球規模の気候変動が原因で発生する移民問題や資源争奪が、国際的な緊張を引き起こしている。これがナショナリズムやポピュリズムに結びつき、国際社会の協調を困難にする要因の一つになっている。


 しかし、こうした分断とそれを是認する流れの中で、多国間協力やグローバルな問題の解決を目指す努力が続けられていることも事実である。気候変動に対する国際的な協定や、パンデミックに対する協調的な対応などがその例だろう。

 また、いわゆる「草の根」のレベルで協調を目指し、国内外に山積する問題の解決を図ろうとしている人たちも少なくない。

 ・・・表面的な事象にとらわれて道を選べば、それは分断に通じてしまう。これは国家の問題であると同時に、私たちの心の問題でもあるのだ。

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