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これからの4年間

 日本時間の1月21日未明、ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国の第47代大統領に就任した。

 トランプ新大統領は就任式の直後から、大統領の権限で政策等を指示する文書に次々と署名をしたということだ。

 具体的には、気候変動対策をめぐって、
・地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱
・自動車の排気ガスの基準を段階的に厳しくするバイデン前政権の政策の撤廃

 不法移民対策では、
・南部国境への非常事態の宣言と、軍隊の派遣による不法入国の即時かつ完全な阻止
・アメリカで生まれれば誰でもアメリカ国籍が与えられるという現在の仕組みの見直し(たとえば、不法移民の子どもなどは適用外とする)

 さらには、
・WHO(世界保健機関)からの脱退
・2021年1月の連邦議会乱入事件で訴追された支持者らへの減刑や恩赦

 ・・・などを指示する文書に署名をしている。

 このように、トランプ新大統領はバイデン前政権の政策を大きく転換させ、自らが掲げてきた「アメリカ第一主義」に基づく公約を迅速に実現させるという姿勢を初日から鮮明にしたかたちだ。

 ・・・4年ぶりに、そしてこれからの4年間、日本はこの大統領を選んだ国・アメリカと付き合っていくことになる。


 神奈川県横須賀市の久里浜海岸にあるペリー公園内には、ペリー上陸記念碑がある。

 この碑は、日本の開国を求めて4隻の蒸気船で来航したアメリカ海軍提督マシュー・カルブレイス・ペリーが、嘉永6年6月9日(新暦1853年7月14日)に久里浜海岸へ上陸したことを記念して建てられたものだ。いわゆる「黒船来航」の記念碑である。

 思えば172年前からずっと、日本はアメリカとの付き合い方に悩むことをくり返してきたのだ。

泰平の眠りを覚ます上喜撰
たった四杯で夜も寝られず

「上喜撰」とは、当時人気があった緑茶の銘柄である。それに湯呑みの杯と「蒸気船」を数えるときの助数詞である杯を掛け合わせ、さらには緑茶の効能である「目が覚めること」にも掛けた狂歌として知られている。

 洒落っ気があるとともに、風刺が効いた歌である。そして、その批判の矛先はアメリカではなく、黒船来航に右往左往する幕府へと向けられたものだ。

 ・・・これからの4年間、まずは172年前のような精神を失わないようにしたいものである。

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